登坂家の日常。。。8

8-21　〜広臣〜 ページ21

Aそのものは痛いとか苦しいとかが無い分安心していられるけど



Aが検査してる間 待ってるだけって
こんな時 男って何もできないんだな



先生からの話は何度も聞いている話で
とにかくAは絶対安静



もし今出産になるとしたら
赤ん坊は確実に未熟児



そうなったら新生児特定集中治療室、いわゆるNICUのある大学病院に救急車で緊急搬送するって



そうならないように最善を尽くしてくれるって言ってもらえたから先生を信じるしかない








まだ何も持ってきてないから病院のピンクの寝巻きみたいのを着せられ、これからジュニア出てくるまでずっと外されることのないだろう点滴をされ、ベッドに横になるAをじっと見ていると



目が合う



気分的にはそんな気分じゃないくせに
にっこりしてくるのは



俺がずっと難しい顔してるから



ったく俺どこじゃないくせに





どれくらいになるか分からないけど、ジュニアが出てくるまでAはここで過ごすことになるだろう



家に帰れないのはかわいそうだけど
俺も寂しいけど…



前にも世話になったナース…ってより
肝っ玉母ちゃんって感じの看護婦が今回もAを担当してくれる



他のナースともAは仲良くなっているから
家に1人で居るよりいいかもな



24時間診ていてもらってれば
俺も安心できるし



そうやって良いように考えなきゃな








Aもうとうととしだしたから
例のAの用意してある入院セットの子リモ子を取りに行こうと、ベッド脇に座っていた折りたたみ椅子から立ち上がる



「広臣…」



なんだその情けない呼び方


ったく



「なんだよ」



わざと不機嫌ぽく言ってやる



「あっごめん」



やばっ強い口調すぎた



「なに、なにした？」



今度は優しく優しく聞いてやる



「うん。いろいろとありがと
それだけっ」


「なんだそれ」



相変わらず可愛い笑顔しやがって
ほんとその顔に癒されるわ





「そういえば、ももに会えなかったね
それはごめんね」


「そうだ。俺はももに会いに行ったのに」


「あーらそうでしたの？
それはそれは申し訳ございませんでしたねー」


「ほんとだわ
だったらさ、そのお詫びとして
俺もここ泊まっていい？」


「ふっ
それお詫びでも何でもないじゃ
自分が私と離れたくないだけじゃ
最初から素直にそう言えばいいのに
ほんと可愛くないねー」



その通りで何も言えねー

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