旦那様は登坂広臣 2

カッコつけしい ページ48

「チャー・シュー・メンッ！


おーナイスショット……」


「いや
ボールそこな」


「…………だね…」





ずっとやりたいって私が言っていたゴルフ
何の心境の変化か、少し前からやり始めた広臣


当然、私も一緒にかと思いきや


意地が悪い広臣は「まだダメ」ってやらせてくれなくて


夜中にいそいそと打ちっ放しに出掛ける姿にイラついて


そろそろブチ切れようかなって時に


お揃いのゴルフバックにクラブのセットに可愛いウェアからシューズからグローブまでトータルで買ってきてくれて、当然「広臣大好き」言いまくる私


そこは上手い
私の扱い方



それから
持ち方、スイングまで教えてくれるも


スパルタすぎて、喧嘩になるわやる気が失せたりしてたけど


やっと今日、打ちっ放しデビューの日を迎えた



広臣は黒の私はピンクのドラゴンの刺繍が素晴らしく派手なゴルフバックをそれぞれ担ぎ、カッコだけいっちょ前夫婦と小さなリーダーとで練習場に来たのですが…



止まっているボールを打つだけなのに
なぜがクラブに当たらない


それを見て笑っているチビリーダーに
それをあざ笑ううちの旦那



「Aちゃん
ボールの行方はいいから、とにかく頭を最後まで残して」


「はいっ師匠」



直人さんに言われた通り
アイアンを振りかぶって、ボールから目を離さず頭をそのままにクラブをそこに戻すっ



直「おー当たったじゃん」


臣「おーこれはナイスショットっ」


「え…？
直人さんも広臣もボールすぐそこだけど」


臣「でも前にいったじゃん
最初は、そこからだから」


直「そうだよ
コース行ったって、400ヤードのコースなら100ヤードずつでも前に行けば4回打つだけで終わるんだから」


「なるほど」



確かにそうだ
頭では分かるけど、そうはいかないのがゴルフ


こうして、レッスンプロならぬ、直人プロに教えてもらっていると、バシバシとゴルフボールを飛ばしている広臣


まだやり始めたばっかなのに
ここまで打てるなんてすごいなぁ
なんて感心していると



「Aちゃん
臣がさ、Aちゃんより先にゴルフ始めたの何でか分かる？」


「え…何か理由あったんですか？」


「うん
一緒にやって、Aちゃんのが先に上手くなっちゃったらカッコつかないからだって」



なんだ意地悪でも何でもなくそんな事か


でも、何やっても広臣の方が優れてるから
そんな心配いらないのに


そこがカッコつけしいの広臣らしいや

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