登坂さん家（ち）

しゅごー ページ42

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「こりぇはーママでーこりぇはーなぎでーこりぇはパパ」


「わーなぎ
絵がじょうずぅー
なぎもママも可愛いー
パパはちょーかっこいいじゃーん」





実際には並んだみっつの丸いお顔から手と足が生えちゃってる頭足人なんだけど



こうして褒めてあげれば
にっにこになるなぎちゃん





「へへっ
ちゅぎはママ書いて」


「じゃーあ」





私お得意の…
じゃなくて



これのシリーズしか
これしかなぎに書いてあげたことないそれを





「♫〜まあるい おさらがありましたー〜♫」





歌付きで書いてあげると





「わーい あんぱんまん
ママもおじょーじゅー
ちゅぎはどきんちゃんかいてー」


「はーい」





でどきんちゃんとついでにバイキンマンも書いてあげて





「はい。これでどうですか？」


「ママ。しゅごー(凄い)」





尊敬の眼差しを向けてくるなぎちゃん



それに気を良くしたあたくしママは



ぱた子さんからジャムおじさんからチーズからメロンパンナちゃんから食パンマンからカレーパンマンからって、あんぱんまんシリーズで紙いっぱいにしてあげてると…








「へーおまえ 絵が書けたんだ
しかもうまいじゃん」





やっと起きてきたか ポンコツ野郎
今日はちゃんとテーシャツ着てきたから



よしとしよう



ただ、聞き捨てならないことを言いよったね





「ふんっ
当たり前。絵心ないあんたと一緒にすな」


「けっ俺だってそれくらい書けるわ」


「じゃあ書いてみ」


「おぅ」





って私が書いたの真似して書き出した



けれど



超適当だから





「パパのなんかへん」





なぎに言われちゃう
でも負けず嫌いなこいつは





「そお？」





とか言いながら
新しい紙にかえて



あんぱんまんの絵本を見ながら
真剣に書くこと数分





「へっこれでどうだ！」





えっらそうに見せてくる
カラダまでちゃんとあるあんぱんまんは





「わーパパもしゅごー」


「ほんとだ
広臣も本気出せば書けるじゃん」


「あったりまえ」





そんな得意げに威張らなくも



あんぱんまん書いただけじゃねーか



でもこんなんで
私に対抗してくるあなたは嫌いじゃないわ



子供相手に真剣なあなたは大好きよ



どんなことでも、「パパしゅごー(凄い)」ってなぎに言われてたいんだもんね

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