俺らが紫耀を守るから29

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高橋side

知らない。
紫耀なんかもう知らないんだから。


そう思いながらも、目の端に映るしんどそうな紫耀に視線が向いてしまう。

息も上がってて咳してる。
もしかして体調悪い？

でも何も言ってくれないし。
俺はちゃんと聞いたもん。



神「海人、しょうのやつなんか変じゃない？」

高「…そうだね」

神「何か聞いてる？」

高「…別に何も」



聞いたよ。
でも何も教えてくれなかったから。



岩「しょお、大丈夫かな」

岸「何かいつもと違うよな。体調悪いとか？」

永「んー、咳してるしな」



みんな違和感は感じてる。
理由はわからないけど。



振「平野、ここもう一度」

平「けほっ…はいっ」

振「はい、ワンツースリーフォー」



なかなかついてこられてない紫耀は、先生がつきっきりで教えてる。
だから俺らは各自自主練。


これでまたレッスンが遅れるんだ。
紫耀のせいで。



高「……っ」



悔しくて、俯いたまま拳をぎゅっと握りしめた。


紫耀、なんでだよ。
もっとすごいやつじゃん。
なんでもできて、いつもかっこよくて、優しくて兄貴肌で。


どうしちゃったんだよ。



永「海人、ちょっと来て」

高「…なに？」

永「お前、何か知ってるよな？」

高「は？」



唐突でびっくりした。



高「何を知ってるっていうの？」

永「しょおのことや」

高「何も知らないよ」

永「そんなわけない。しょおもやけど、お前もずっと様子おかしい」

高「…はぁ…何も知らないって。もうほっといてよ」

永「海人…」



廉に当たってもただの八つ当たりなのに。
ごめんね。






それからもレッスンは続いて、紫耀はさらに動きが鈍くなってついて来られなくなってる。


あと少しで終わるけど、明らかに様子がおかしい。



平「げほげほっ…はぁっはぁっ…」

岩「しょお、大丈夫？」

平「はぁっはぁ…」



みんなの声も聞こえていないみたい。



振「よしっ、最後ここだけいくぞ」

５「「はい」」



紫耀以外の５人が返事をして、最後合わせての振り確認。



振「平野、立ち位置につけ」

平「ケホッ…けほけほ…」

振「平野！」

神「しょう？」

平「はぁ…ぅっ…はぁはぁ…」



俯いたまま動かない紫耀に、全員が視線を向ける。



岸「しょ…」



岸くんが名前を呼びかけた時だった。



平「はあっ…」((バタンっ

永「ッしょお！」



突然膝から崩れ落ちた。



神「しょうっ！どうしたんだよ！」



こんなの…知らない。

俺は…何も知らない。

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