初めて友達ができた日4 ページ45
紫「これ…ありがとう」
「べつにええよ」
目を逸らしたままタオルを受け取り、少し離れてその子は座った。
「…なぁ」
紫「は、はい」
「名前なに?」
紫「名前?…だれの?」
「いや、自分しかおらんやん」
紫「あっそっか」
この子変わった話し方だな。
方言?…とかいうやつかな。
「で、名前なんなん?」
紫「あっ…ひ、平野紫耀…です」
「しょおやな。俺は永瀬廉や!よろしく!」
紫「しょお…。うん、れんくん…よろしくね」
「しょお」じゃなくて「しょう」なんだけど、そんなのどっちでもいっか。
「れんくんとか気持ち悪いわ。れんでええよ」
紫「…じゃあ、れん」
廉「おう!」
紫「…ふふ」
廉の笑顔にホッとして自然と笑顔になれた。
最初は無愛想だと思ったけど、廉はすごくあったかい。
廉「なぁ、家にだれもおらんの?」
紫「…うん。僕一人」
廉「俺と一緒やな。俺も一人やねん」
紫「そうなんだ…」
それで廉もここにいたんだ。
廉「俺んち母さんいなくてな、父さんと俺だけやねん。この間大阪から引っ越してきたんやけどさ、父さんはいっつも帰り遅いし家にいたないからここにおる」
紫「僕も…ママしかいないんだ…。いつも一人でご飯食べて寝るだけで」
廉「そっか。俺ら似てんな」
紫「ね」
日が暮れるまで廉といろんな話をした。
大阪出身で関西が大好きなこと、サッカーが上手なこと、ゲームが得意なこととか。
実は同じ学校だったのには驚いたけど。
廉「じゃあそろそろ帰ろかな」
紫「もう夕暮れだ…。僕も帰るよ」
ママはまだ帰ってこないけど、お腹も空いたし。
廉「しょお」
紫「ん?」
廉「また会えるやんな?」
紫「えっ?う、うん。また会えるよ」
廉「そおか。じゃあまたなー!」
紫「ばいばい」
廉は、雨の上がったばかりの公園をパシャパシャと走って行った。
そんな様子をしばらく呆然と眺めていたけど、ハッと我に帰って公園を出て自宅へと足を進めた。
カチャ
紫「ただいまぁ…」
真っ暗な家の中。
やっぱりママいないよな。
家に帰ると突きつけられる現実に、暖まっていたはずの心がまた冷え切ってしまいそうになる。
紫「ダンスの練習しよっかな」
リビングで一人、ダンスの練習。
やっぱり踊っている時が一番楽しい。
紫「はぁっ、はぁっ…」
廉。
楽しかったな。
また、会えるかな。
友達になれるかな…
廉の笑顔を思い出し、自然と頬が緩んだ。
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晴はる(プロフ) - 探偵 コーヒー珈琲さん» メッセージありがとうございます!色々と読んでいただけてて嬉しいです(*^^)vそこで笑ってくださったんですね!皆さんそれぞれ笑うシーンとかも違うと思うのでお話聞くのも楽しいです!またよろしくお願いします〜(^O^) (2023年1月16日 15時) (レス) id: 5b86a9a166 (このIDを非表示/違反報告)
探偵 コーヒー珈琲(プロフ) - 他の作品…こちらも拝見しました!紫耀くんがダンスを頑張ってて、お休みになって…廉くんと出会ったシーンが面白くてまた吹き出しちゃいました(笑) また読んできます〜。 (2023年1月16日 15時) (レス) @page45 id: fb7906ce13 (このIDを非表示/違反報告)
晴はる(プロフ) - はるきさん» はるきさん、いつもコメントありがとうございます。初の試みでなかなかうまく書けず難しかったですね…。king3人で何か書けないかなぁと思ったらこんな感じになりました(^^;26章もお世話になりました。27章もよろしくお願いします。 (2020年10月23日 7時) (レス) id: 2b7aa7cd67 (このIDを非表示/違反報告)
はるき - 晴はるさん» 過去話読みました。まさかれんかいが従兄弟関係だったとは意外です。kingの3人は子供の頃に会ったことあったんですね。king3人の友情はとても強いものだと感じました。紫耀くんはダンスを頑張り続けて良かったですね。26章、お疲れ様でした。27章目も頑張ってください。 (2020年10月23日 0時) (レス) id: 801ad08d69 (このIDを非表示/違反報告)
晴はる(プロフ) - king_shoさん» king_shoさん、再びリクエストありがとうございます!盲腸ですね。お話考えてみます! (2020年10月16日 1時) (レス) id: 2b7aa7cd67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:晴はる | 作成日時:2020年9月10日 7時