俺らが紫耀を守るから7

10 ページ27

平野side

また、、あの人がくるっ…

早く逃げないとっ…


もうパニックで落ち着くことなんてできなくて、押さえる廉達の腕を振りほどこうと身体をバタバタ動かす。


永「しょお、なにがあったんか教えて。逃げるって誰から逃げんの？身体のあざ…誰にされたん？」



あざ…
心臓がドクンドクンと音を立ててうるさい。


もう、無理っ、、

俺、耐えられないよッ…

たすけて…



平「…いゃっ…いや、、もうやだっ…やめてぇ…ううっ、、やめてよぉぉ…うわぁぁぁ…」


その瞬間、俺の中で何かが切れた。
涙が溢れ出して、それすらもう止める気力もなくて。



平「もっ、、やだぁぁ…ゔぅっ、、ヒック…痛いよっ、れぇん、、かぃ…」


俺の心はとっくに限界で、自分でもここまで来てるなんて思わなかった。

失敗するたびに殴られ、蹴られ、もう体はあちこち痛いし、心の中は恐怖でいっぱい。
こんなの、、いつまで続くの？
もういやっ…


涙でぐちゃぐちゃになって前すら霞んできた時、そっと抱きしめられた。


平「れぇん…ゔぅっ…れぇ、、ん！」

永「しょおっ、、ごめっ、、気づいてやれんで…ほんまごめんっ…！」

平「ゔっゔぅーーーっ…れんっ…」


顔は見えないけど、廉も涙声で。
抱きしめられて泣いてたら、さらに上から海人が覆いかぶさってきた。


高「しょおっ、、ほんとに…辛かったねっ…ごめんねっ！ごめんねしょおっ…！」


二人は謝る必要なんてないのに、嗚咽がでるせいでうまく喋れないよ。


平「はぁっ…ヒクッ…はぁはぁ…」


泣きすぎて呼吸の上がる俺の背中を、廉はそっとさすってくれる。
廉はいつだって、こっちからなにも言わなくても今俺が求めてることを自然とやってくれるんだ。
それでどれだけ安心してきたか。



高「しょお、俺たちがそばにいるからね。もう大丈夫だよ」


海人は一番年下の弟で、それはずっと変わらないと思ってた。
けど、俺が体調崩すたびに安心する言葉をかけてくれて、手を握ってくれて。
いつのまにか大きく成長してた。




平「れんっ、、かいと…お願い、、たすけてっ」



俺の心の叫び、二人になら言ってもいいんだってそう思えたから。






少しして落ち着いた俺は全てを打ち明け、二人に手を引かれて事務所を訪れた。

震える俺の手を握りながら廉達はゆっくりと話し始め、心の底から訴えてくれた。



そして後日、そのディレクターさんはマスコミ界から追放されたらしい。



廉、海人、本当にありがとう。

11→←9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す