俺らが紫耀を守るから43

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平野side

辛くて辛くてたまらなかった。

でもみんなとはあのことがあって以来話してないし、顔も見てない。

家ですれ違う事もなかった。


体は忙しさから疲れているのは分かってたけど、それよりも何よりも心が苦しく重く寂しくて、体よりももっとしんどくて、でもみんなの雰囲気を悪くしているのは俺のせいだっていう事も十分わかってるし、メンバーに迷惑をかけてる自分が許せなかった。


俺がそんな調子だからもちろん仕事がうまくいくわけがなくてミスが増えた。
さらに疲労も積み重なって、色んな事が同時に起こりすぎたんだと思う…


……薬に手を出してしまったのは。







平「薬…飲まなきゃっ」



あの日、俺はもうおかしかった。


毎日それに頼るようになってしまっていたのはわかってたけど、頼らずにはいられなくなっていた。

飲まなきゃまた居眠りしてしまう。
みんなに迷惑をかけてしまう。

飲まないと飲まないとってもはや何かに憑りつかれてるみたいな感じで、今思えば薬の効果っていうよりは、飲むことで自分が安心したかっただけだったのかもしれない。


一日3粒というルールはとっくに無視して、3粒を一日2、3回摂取することもあったし、確実に俺はおかしくなっていた。



平「はぁっ、はぁっ…足りないっ……ごくっ」



あの日の俺は3粒では満足できなくて、もう麻痺してたんだ。
瓶を傾け、半分くらい残っていた薬を全て口に含んでいた。



平「…きっとこれ、で、、あ…れ…」



突然目の前が歪んで、浮遊感と気持ち悪さで足元がぐらぐらして立ってられない。


あっ、死ぬのかも…


なんでか分からないけど、その時は冷静にそう思った。






目を開けたら病院で、白い無機質な天井と機械音だけがする部屋。

看護師さんやお医者さんから色々と聞かれ、その後にみんなが駆け込んできた。



永「しょおっ！」

平「……れん…みんな…」

岩「しょおーっ！」

高「しょぉぉぉおっ！！」

神「大丈夫か？しんどくない？」

平「…うん、大丈夫」

永「ほんま…よかった…」

岸「心配したんだからなっ…」

平「…ごめん」



みんなの表情に、ああ…俺はとんでもないことをしてしまったって。

そこでやっと気が付いた。



中毒になるほどにまで俺は落ちていたんだ。

もうとっくにみんなの足を引っ張ってた。



自分の情けなさに心が壊れそうになっていた時、廉が優しく俺の体を包み込んでくれて、俺の中でせき止めていた何かが音を立てて崩れていった。

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