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No.116 ページ26

自分の部屋から少し歩いたところに小さく【KIR】と金色の筆記体の文字盤がかかっているドアを見つけた。キールの一つだけ気に掛かる事。それは、私が組織に入った時に初仕事祝いと言って私に服を買ってくれたこと。全ての諜報機関で教育されるわけではないけど、暗黙の了解としては『潜入先の相手と金銭のやり取りをしない』とそう囁かれている。でも、キールは少額だったがすぐに私を誘い、服を奢ってくれた。私もNOCとして奢られるわけにはいかなかったけど途方に暮れた少女の設定だったため、キールに借り作ってしまった。そして、キールは私の正体に気付いているのか?そんな考えがふと頭をよぎる。キールがバーボンをNOCだと知っているのならもちろん私の正体も知られている。お互いがお互いを庇いあっている……それが吉と出るか凶と出るか。今の我々の目的……組織の滅亡に関してはキールに味方について貰わないといけない。



「キール?私ノアだけどお邪魔してもいいかしら」
『どうぞ』
ドアを開けたその先にはパソコン作業をしていたキールがいた。今はTVに出ていない彼女。CIA職員の彼女がなぜ日売テレビのアナウンサーもやっていたのか……
「今日の仕事のことでしょう」
彼女はパソコンをスリープ状態にし、立っている私に珈琲を出し、座ってと言わんばかりに椅子を取り出した。
「今日は何の仕事?」
「どっかの弁護士を殺るらしいわ……」
そう静かに言った彼女の声は何処か呆れ、寂しく罪悪感に溢れ返っていた声に聞こえた。そんな風に聞こえたのかは少なからず彼女がNOCだと知っているせいだと思うが。



「ねぇキール、仕事が終わった後に少し話せるかしら」
少し驚いた顔をした後、珈琲を一口飲み微笑したキールは快く了承してくれた。
「帝都スカイホテルのホールでその弁護士の事務所設立四十周年記念パティーがあって、そこで殺ることになっているわ」
「その弁護士は一体何をやらかしたのかしらね……」
「さあ……私も知らないわ。だけど知らない方が身の為よ」
キールは眉を寄せながら少し低めの声で言った。
「そうね」
「じゃあ、時間になったら呼びにくるわね」
「ええ、ありがとう」
私は珈琲を飲み干し、キールの部屋を後にした。

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chiharu(プロフ) - Aliceさん» 見逃していました(汗)修正しておきます。ありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ (2017年5月7日 13時) (レス) id: a4bdbc390b (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 敬語を使う方がが←誤字です (2017年5月7日 3時) (レス) id: 1a1e66043f (このIDを非表示/違反報告)
chiharu(プロフ) - NANAさん» NANAさん初めまして!ありがとうございます。ドキドキしてもらえて嬉しいです♪これからもがんばりますのでよろしくお願いします。 (2017年3月14日 20時) (レス) id: 0fc392f71f (このIDを非表示/違反報告)
NANA - ドキドキしながら読めてとても面白かったです!続き読めることを楽しみにしています♪ (2017年3月13日 14時) (レス) id: 6ca7b4b0b3 (このIDを非表示/違反報告)
chiharu(プロフ) - みゅーさん» みゅーさん初めまして( ´ ▽ ` )ノお話を読んで下さってありがとうございます!最高だなんて…本当に幸せです♪嬉しいお言葉ばかりで…(涙)これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします: ) (2017年2月26日 23時) (レス) id: be2730d495 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chiharu x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年1月7日 18時

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