Hiレベルな女。

夢を ページ38

井上



俺は冷静に自分のことが理解できている。

おれは、ちっちゃな頃からなにひとつ変われていない。

はしもっちゃんも嶺亜も、Aもみんなみんな辛いことから前に進めているのに。

みんなでイツメンとして仲良くしていたあいつが退所したこと、何年も前になる。

俺はそれから抜け出せない檻にいる。

はしもっちゃんも、嶺亜もとっくのとうに前を歩いていた。

Aは他にも辛いことに魘われ、その度傷ついても立ち直っていた。

嶺亜やはしもっちゃんでさえ追いつけないところを歩いていた。

でも、物理的に一番近いところにいるのは間違いなくおれで。

「A」

「みずき！！！」

ちっちゃな頃から変わらない呼び方。

今だって甘えるときはひらがなになってしまう君が愛しい。

俺から離れないでほしい。

ひとりにしないで。

ずっとこの世界で生きてきた。

穢らわしいことも全部知ってる。

なのに君は何も知らないから。

穢れさせたくない。

まっさらな君でいて。

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