Hiレベルな女。

表情 ページ30

A



とある雑誌の撮影。

自分の出番まで暇だったから瑞稀のソロ撮影の見学をした。

見ているとアイドル瑞稀って感じでなんか変な気持ち。

ばっちりウィンクを決めたり、かわいくぶりっこしてみたり、アンニュイな表情をみせたり。

いつも見てる瑞稀とは全く違う。

思えば今までだってライブやら撮影やらでアイドル瑞稀を間近で見てるのになんだか今日は変な気分だ。

意識、してしまう。


「A」

そんなことを考えているとりょーに話しかけられた。

「瑞稀の見てるの？」

なんていつも通り優しい微笑みで聞いてくる。

「…うん。」

「瑞稀はいっぱい表情持ってるからすごいね〜」

「なんかね、意識しちゃうの。当たり前だけどいつもの瑞稀じゃないのがなんか…」

りょーは相変わらず微笑んで私を見てる。

「いつもの瑞稀はただの瑞稀だからね。自然体じゃない？」

「アイドルしてる瑞稀を見るとなんか苦しくなる。」

「ファンの子にしか見せない表情があるから？」

「…うん」

「ファンの子にしか見せない表情があるようにAの前でしか見せない表情もあるんじゃない？」

「？」

「そうだなぁ、これ以上ヒントを出すわけにもいかないから、自分の頭でしっかり考えな。」

そう含みのある笑顔で私の前を去っていった。

「A〜」

急に頭の中を占める張本人が来て驚いた。

「？」

「俺どうだった？」

なんて聞いてくる笑顔は入所当時から変わらず。

ずっとちっちゃい頃から雑誌とかの撮影があると写真を見せてきたり、見学させたりしてどうだった？って聞く。

この顔は私だけ？

「すごいよかったよ。」

なら私もあなたにしかこの笑顔は向けないよ。


評価、コメント、お気に入り登録お願いします🙏

心情→←やっと

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す