Quasimodo Ⅱ 【short story】 (ページ37)

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ふと、音が途切れ……

私は稜雅さんを見た。

「……」

稜雅さんは、まるで色を失ったかの様な…

呆然とした黒い瞳で…、私を見上げてる。

……そんな稜雅さんの目が……

あまりにも悲しくて、私は目がそらせない。

「……」

一度目を伏せた稜雅さん…

再びその視線が私を捕らえた時、

稜雅さんの手が伸びてきて…

静かに私の腰を引き寄せた。

「…っ」

思わず息を飲む。

…座った稜雅さんの足の間に立たされ…

肩から羽織っていたバスタオルを、

そっと…

床に落とされた。

そして、腰に置かれた稜雅さんの両手が…

ゆっくりと私の体のラインをなぞる。

「…」

湿った服を撫でる稜雅さんの手を、

やけに熱く感じながら…

だんだん上へと上がって来るその手の行方を…

私は、ただ見つめる。

胸のすぐ下まで来た両手…

その片方が背中に回った。

「…」

…何処か現実感のない…この状況。

でも、私の心臓は鼓動を早め

…確かに悲鳴を上げている。

背中にあった稜雅さんの手が離れ…、

私の頭を引き寄せた。

「……ん！」

…ぶつかるように重なった、

稜雅さんの柔らかな唇は…冷たくて…

そしてやっぱり…

稜雅さんの身体からも、

雨の匂いがした。