Quasimodo Ⅱ 【short story】 (ページ33)

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酔わされて… ③ ページ33

時計を見ると23時を過ぎている。

…遅い。

帰りの遅い君が気になる…。

何処かフワ～っとしてる君

自分ではしっかりしてると思ってるみたいだけど(笑)

…R R R R R ～

携帯が鳴った。

君の名前が映し出される。

『もしもし？リョウガさん？』

でも相手は君ではなく、同僚の女の人。

『ごめんね、遅くまで彼女さん借りちゃって。申し訳ないんだけど、迎えに来てあげてくれない？』

どうやら呑み過ぎ…、

いや、呑まされ過ぎたみたいだ…。

・

・

教えてもらった店まで迎えに行くと……

テーブルに伏せて眠る君

｢おきろ～｣

軽く揺する。

「お嬢さ～ん」

「…ん？……あれ？ひょが…？」

｢俺は、ひょがじゃないぞ、りょうが｣

酔ってる。

目を擦りながら起き上がるけど、そのまま後ろに倒れそうになり、慌てて支える。

｢ひょが？ひが？りが？…あれ？｣

｢もう、ひょがでいいよ(笑)｣

まいったね(笑)

舌が回ってないし……(笑)

「迎えに来たんだよ。ほら、おんぶすっから、帰るぞ」

君を背負い、同僚の人の申し訳なさそうな顔に見送られ、帰り道を急ぐ。

家に辿り着き、君をベットに寝かせる。

「世話がやけるお嬢さんだ」

気持ち良さそうな顔で寝る君の髪を

そっと撫でる。

「…ん……」

ふいに目を開ける君。

「ごめんねぇ……」

酔いが回って潤んだ瞳で…

俺を見つめて来る。

「りょ～…」

…その上、甘えた声で呼ばれると……

めちゃくちゃに意地悪したくなる…。

…だから目を反らして横を向く。

「りょがの…横顔…きれい…」

手を伸ばし、俺の頬を触って来る。

「色っぽい……。あ、頬っぺたつるつる……」

君の仕草に思わず微笑むと、俺の唇に指を押し当てて来た。

「…その…りょがの、微笑んだ時の唇……好き。形がかわいい……」

無邪気に人の唇を突つくから…

その指先をパクリとくわえた。

「あ…りょがに食べられた……」

そう言って笑う君に、たまらずキスをする。

何処か甘い味のするアルコールが、俺の口の中に広がった。

クラっとしてしまうのは、アルコールからか

愛しい君に、酔わされているのか

どっちでもいい、

俺は君に酔わされて、甘すぎるくらいに君を抱く…