Quasimodo 【short story】

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相手がどんな人なのかも、もちろん知らない


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きっと、私より素敵な人



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｢はい、もう目開けていいですよ〜｣



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『あんな、今日、この曲するねん……』



そういって、曲の雰囲気と色合いと、2人で話し合った




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その時間が、私はとてつもなく好き


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近くにいても、許されるから


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タカシさんの顔に触れても、許されるから


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その度に好きになって、その度に切なさは増すのに


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やっぱり、その時間が、すきだった


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もっと好きになるのに、もっと切なくなるのに

好きなの

好きは止められなかった


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『うん、ありがとうな』


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満足いくメイクを提供できたようで、素敵な笑顔で、お礼を言うタカシさん


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ーRrrrrr


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タカシさんのスマホがなる


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『あっ』



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｢彼女さんですか？｣



『そーみたい、ほな、ありがとうな！』


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そう言って電話を取りながら離れていってしまう



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あと少し早く出会っていたら



私がもっと魅力的だったら



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そんなことを考えると、やっぱり涙が出そうなくらい、苦しくなった



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会ったことは無いけれど、きっと、私にはないような素敵なところが、いっぱいな人なんだろう


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そう思うと、やはり、張り合う気にもなれないし


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なにより、タカシさんの幸せを邪魔したくなかった




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