Quasimodo 【short story】

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泣きながら、俺に電話してきた君
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"明日、入籍することになりました"
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息も絶え絶えに、君から信じられない言葉を聞いた
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そして、俺は何も考えず、簡単に荷物をまとめて、家をとび出た
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初夏の夜
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その寒空には、皮肉なほどの満月が光っていた
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君をみつけると、柔らかな手を握り、ひたすらに 歩いた
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ひとつだけ、隠れられる場所があった
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" か け お ち "
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大胆すぎる。
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それでも、俺は、つかみかけた愛情を手放したくなかった
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満月が俺たちを照らす
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やめてくれ
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その、些細な光からも俺達は隠れたかった


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だれにも邪魔されたくない、満月の光が俺たちを照らし


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誰かに見つかるなら



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暗闇の方がマシだ




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君は黙って着いてきた
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駆け落ちしようなんて言ってない
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それでも着いてくる君は、電話を俺にした時点で、覚悟が決まっていたんだろう
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田舎道を過ぎれば、山の麓に着く
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そこにあるのは、古すぎる小屋
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今日はここで、
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育ちが良すぎる君は眠れるのだろうか
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