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筑波「…下の句かるたともいうんですけど」
西田「あ、聞いたことある。上の句を詠まないで、いきなり下の句から詠むっていうやつだ」
駒野「え？本当に？」
筑波「そうですよ。だから俺、下の句しか覚えていなくて」
太一「へぇ」
筑波「下の句かるたは基本的に三対三のチーム戦なんで、北海道にいた時は、兄弟四人でよくやってて、俺のチーム、地元の大会では、負け知らずでした。
内地では上の句かるたが主流だって聞いて、だったらそっちも強くなりたいなぁって。名人だっけ、そのくらい、」
駒野「わ、わかった。でも下の句かるたがいくら強くても、競技かるたとはルールが違うでしょ？ちょっと丁寧に教えるからメモとって？」
筑波「駒野先輩って級とか段とかどれくらいですか？」
駒野「え、初段でC級だけど」
筑波「あ、じゃあいいです。ま、真島先輩は」
太一「え？B級だけど」
筑波「じゃあ真島先輩がいいです」
あれ？なんだろう、個性がすごいな、今年の一年生。
でも強い相手と戦いたいと思うのはすごく良いことだ。
菫「あ、私も！」
西田「いいよ、練習しようぜ、練習。一年は一年同士でやってろ」
千早「でも、経験者なら余計基礎から教えないと、」
西田「綾瀬！いつまでも甘いこと言ってんな！予選前に俺らの力が落ちたらどうすんだよ」
その言葉に私も、みんなも、ハッとした。
そして一年生は一年生同士ですることに。
テープを回し、私は千早と一年生の隣ですることになった。
テープ「a」
しゅっ
よし。
隣りを見ると、筑波くんが左手で取っていた。
左利き？
テープ「」
しゅっ
よし、連取だ。
隣りに目をやると、筑波くんが両手を使っていた。
え？！
筑波「よーし！次も取るぞ！」
と筑波くんは畳を叩き始めた。
全然違うじゃん。
「千早、一年生の試合、見てもいいかな」
千早「私も見たいと思ってた」
私たちは自分たちの手を止め、隣りの試合を見ることに。
テープ「」
あ、札直で一点。綺麗な取り…。強い指先。
テープ「はなのいろは」
菫「これはわかる」
そう言うと菫ちゃんは初めて札を取り、嬉しそうだった。
初めて取った札、嬉しいよね。
千早「菫ちゃん、爪切ろう」
菫「え、なんで？」
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作者名：しのぶれど | 作成日時：2016年10月16日 22時
