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次の日のかるた部は勉強会。
でも、その時、上の階から、また物音がした。
駒野「またか、」
すると楽器の音も聞こえだした。
奏「音出し?」
西田「なんで?約束違うじゃん」
筑波「しかもだいぶ下手」
奏「あらら、ちはやぶるじゃなくて、荒ぶるって感じですね」
千早「ん?どういう意味?」
「え?千早?」
奏「何って、ちはやぶるに対して、荒振る」
千早「ちはやぶるは勢いが激しいってことなんだよね?荒振るは?」
「え?」 奏「は?」
菫「私もわかんない」
西田「枕詞って意味ないんじゃないの?」
するとかなちゃんは慌ただしくノートに書き出した。
奏「いいですか?ちはやぶるという言葉には色んな訓読み表記があって、諸説ありますが、私がイメージしやすいと思ったのは《千早振る》と《荒振る》と対で考える説です」
西田「荒振る神とか聞いたことある!」
奏「両方とも神の力を表しているんですが、荒振るが悪い神の力なら、千早振るは正しい神の力です。
どちらも勢いの強さを表すもののその性質は全く違います。
荒振るはバランスの悪いグラグラな回転だとするなら、千早振るは高速回転する真っ直ぐの軸のコマ。
何が触れても弾き返される安定した世界で、まるで止まってるかのように見えながら、前後左右上下どこにも偏りなく、力が集中している状態」
千早「ちはやぶる」
その時外側の扉をノックされた。
かるた部「「「ん?」」」
みんなで見ると、そのノックした主によって扉が開かれた。
「え?なに?」
先生「校歌演奏。瑞沢高校かるた部の全国大会の健闘を祈って」
〜♪
しばらくの間、吹奏楽部から目が離せなかった。
先生「二階使わせてくれてありがとな!」
吹奏楽部「「ありがとう!!」」
女「全国大会がんばってね!」
男「うるさくないように使うから!」
そしてあっという間に去って行った。
私は涙が止まらなかった。
かるたを認めてくれて、
みんなのことを自分のことを認めてくれて嬉しかった。
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作者名:しのぶれど | 作成日時:2016年10月16日 22時