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読手「」
あ、クーラー止まってる？
タイミング悪いなぁ…。
読手「」
太一「す、すいません、誰かタオル…」
その声に私はすぐにタオルを差し出す。
他の人もタオルを投げた。
太一「え？」
そして太一は私からタオルを受け取った。
客席から投げてくれた人に太一はお礼を言った。
太一「ありがとうございます」
読手「」
太一「よし、一枚！」
よし、太一が一人になった。
私たちを信じてくれたようだ。
太一はもう大丈夫だ。見守ろう。
そして太一はどんどんかるたを取って行く。
よし！太一が追い抜いた。
読手「ありまやま」
しゅっ
すごい、綺麗な一手…、
太一「ありがとうございました」
全員「「ありがとうございました」」
「やったね！次は決勝だ」
千早「絶対に優勝する！！」
「当たり前！！」
かるた部「「(綾瀬/千早ちゃんの貪欲が神崎/Aちゃんに移ってる？)」」
坪口「まつ毛くん、残り札、何枚だった？」
太一「もう95枚読まれてて、残り5枚だけでした。空札もなしです」
「た、太一…(笑)」
覚えすぎでしょ…。
坪口「最後の'あ'の札、一字決まりになっていたのに、お前は飛び出せなかった。
'あ'の札が他にも残っているかもと思ったから、詠まれた札の把握の正確さで後半は差がついた。
気持ち悪いよな、あそこまでの暗記。毎日すっごい練習するんだぞ。でも、あの努力に俺も励まされるんだ」
「坪口さん…、」
太一「みなさん、ありがとうございました。タオル洗ってお返しします」
奏母「いいのよ！太一くん。ここのエアコンが悪いのよ」
女「タオルなんていくらでも」
女「次も頑張ってね」
あれ、太一のファン増えてる？
男1「あの！神崎さん」
「え？」
男1「つ、次の試合も頑張ってください！応援してます！」
男2「俺も！」
男3「俺も応援してます！」
男4「あの正確さ、本当に惚れます！」
「あ、ありがとうございます」
私も他校の男子生徒に囲まれてしまった。
チラッと見えた黒板に貼り出されていた紙には、北央が次に進んでいたことが記されていた。
次は北央と、か。
絶対に負けない。
そして急に腕を引っ張られた。
太一「A、タオル、ありがとう」
「あ、うん」
びっくりした。犯人は太一だった。
でも私にタオルを返すと男子たちのところに戻って行った。
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作者名：しのぶれど | 作成日時：2016年10月16日 22時
