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「A、起きろ。着いたぞ」
左京に声をかけられて、目を開ける。途中までは狸寝入りしていたが、揺れが心地よくていつの間にか本当に寝てしまっていた。急いで車から降りると、その反動か一瞬ではあるがふらついた。
「ったく、危なっかしいな。迫田、仕舞っといてくれ」
「了解っス！」
「行くぞ」
自惚れかもしれないけど、左京はわざわざ寮の前に付けてくれたらしい。そして私のスーツケースを右手に持ち、左手で私の手をとり歩き出した。
「左京、私大丈夫だから」
「ふらついた奴の言葉に説得力はねぇよ」
「…ごめん」
何も言わず微笑み、握る手の力を少し強くした左京。その微笑みは何か企んでいるようにも見えた。
「おかえり、A」
玄関の戸を左京が開け、私を先に入れた。そしていづみが笑顔で立っていた。
「A、おかえりなさい」
何も言わず固まっていると、またいづみが言った。後ろにいる左京に助けを求めるが、「早く言え」と口パクで言われた。
「…ただいま？」
「うん、おかえり」
今度はいづみが抱きついてきた。昨日の軽いハグではなく、力強いハグ。ちょっと苦しいけど、暖かい。その暖かさで、今までためてきたものが溢れそうだ。
「…いづみ、ごめんね」
「何に謝ってんの？ここに住むこと？ならそれは間違いだよ。だってここに住むことを提案したのは、私たちなんだから」
「…そっか」
「とりあえず部屋に行こうか。左京さん、ありがとうございました」
左京からスーツケースを受け取るいづみ。
「スーツケースくらい持てる」
「姉らしいことなんて全然できてないんだから、これくらいやらせてよ」
少し悲しそうに笑ういづみ。そんな顔しないでよ。いづみにそんな顔は似合わない。
「落ち着くまでここに居ていいんだからね。なんなら、ここに住んでいいんだからね」
部屋に入るなり、私の手を握り目を合わせ言ってくれたいづみ。いづみは口癖かのように「姉らしくない」なんて言うけど、そんなことないと思う。こういう所、余計なお世話が多いところが姉らしい。
「……ありがとう」
「何かあったら呼んで？ご飯はゆっくりでもいいから、皆と食べられるように頑張ろ！あと、あと…」
「もういいよ。気を使わせちゃってごめんね」
そう言うと慌てだすいづみ。今度は何だ？
「あ、違う！そういう意味じゃ無くて…」
今度は急に照れくさそうに笑った。
「Aと一緒なのが嬉しくて、舞い上がってた」
私の姉、可愛い。
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てら(プロフ) - 自分にも似た様な経験があるので主人公の気持ち痛いほど良くわかります。主人公がまた職場に戻って欲しい気持ち半分、無理しないで欲しい気持ち半分です。この暖かい環境で主人公がまた心から笑える日を楽しみにしています。続き楽しみにしています、頑張ってください！ (2019年10月14日 23時) (
レス) id: dc9ce9c8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ginmikoto(プロフ) - 上司に殺意が湧きました。至さんも千景さんもツートップで推しなので恋愛でどちらかを選ぶなんて、私はおそれおおくて出来ませんね笑。でも、更新すっごく楽しみにしてます！頑張ってください！そして至さんの教育係の人に惚れました。笑 (2019年4月4日 0時) (レス) id: 91596e022c (このIDを非表示/違反報告)
椏萌☆紅弥 - これは泣くな。(確信) この話や読んだら寝ようと思っても続きが気になって更新されてる分全部読んじゃいました笑 頑張ってください！ (2018年10月22日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花（仮垢） - やばい…たるちもチカちょんもイケメソすぎるて。 (2018年7月1日 20時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 千景さんかっこいい…頑張ってください！！ (2018年6月14日 21時) (レス) id: dc516c7501 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：李人 | 作成日時：2018年5月12日 10時
