【A3!】同期と先輩【茅ヶ崎至・卯木千景】

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卯木side

今日は珍しく、Aが休んだ。入社してから1度も体調不良では休んでいないAが。茅ヶ崎に昨日俺がいなかった時のことを聞いてみたが、いつもと変わらないと言っていた。まぁ、何か隠してはいると思うが。

そして随分前から取っていた有給でも、毎回前日に俺に連絡を入れていたAだ。今回の連絡が俺に入ってなく、茅ヶ崎に入っているのも気になる。

茅ヶ崎にはあんなこと言ったけど、確証はない。それでも俺には、ああ言うしか手がなかった。これ以上、社内の雰囲気を悪くして欲しくない。

「茅ヶ崎。卯木の言う通り皆、立花が仕事頑張ってることなんて分かってるし、どうにか手を貸せないかと思ってんだよ」

「さすがに今回のはやりすぎ。前の会議資料の時に多く仕事振られてるのは分かったけど、ここまでとはな」

上司がタバコ休憩に行くと、すぐ茅ヶ崎の近くに色んな人が来た。そして声をかける内容は、全てAの件。それもAが築き上げた信頼なのか、茅ヶ崎の外面の人望なのかは分からない。ただ多くの人がこっち側なのは確かだ。あまり目立つ行動をしてはいけないが、Aのために動こう。

昨日の上司の話は、茅ヶ崎が一部始終録音していた。そして今日のも、録音をしている。それだけでは証拠として、まだ弱い。仕事の押しつけも「もともとは本人の仕事」とか言われてたら、立証できない。

精神的に追い込んで…ということも出来るが、Aのわかる位置で色々やった方が気も楽になるだろう。そう考えるとやはり、会社でどうにかしてもらうしかない。そしたら証拠集めが1番重要だ。アイツは何気に営業成績良いため、地位も高い。だから隙が少しでもあると消されてしまう。何が1番効果があるのか…。

「卯木も。立花のことが心配なのは分かるけど、気を張り詰めるな。立花の味方は、ここにいる全員と考えろ。全て自分でやろうと思うから失敗するんだよ」

俺の教育係だった先輩が、珍しく声をかけてきた。新人時代同じようなことを言われた気がする。

「最近は変わったと思ったけど、そういうところはあんまり変わらないんだな」

そう言って大口で笑う先輩。劇団に入る前はどれだけ目立たず仕事をするかだったから、誰にも頼ってなかったのは確かだし全部1人で考えてたのも確か。入社１年目のAにも怒られた。

「そんな簡単に人は変われませんよ。それも大切な後輩が困ってるんですから」

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