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茅ヶ崎side
立花はあの後も、何事も無かったかのように仕事を続けた。正直、俺も周りの人達も驚いてる。上司も相変わらず、立花に仕事を押しつけてる。それもいつもの倍以上。“お前のせいで仕事が増えたんだから、これくらいはやれよ”と思ってやっているのだろう。元から大して仕事をやってないから、1つ増えたくらいで立花ほど忙しくないとは思うが。
怒鳴られていた時、助けに行こうと思ったけど立花に首を振られ行けなかった。あの時もし先輩なら…とも考えてしまう。まぁ、録音は最初からしていたから証拠としては十分だろう。
定時になっても仕事が終わらないらしく、立花はずっとデスクに座っていた。俺は急いで立花がよく飲む珈琲を買って、デスクに置いた。
「ありがとう、茅ヶ崎」
「仕事手伝うよ。半分頂戴」
「いいよ、大丈夫。今回は、私のミスが原因の仕事だから。早く帰って、千景さんのお帰り会参加してきなよ」
“いづみの事だから、カレーパーティだろうけど”と笑って言う立花。その笑顔は昨日見たのと同じ、無理して笑ってる笑顔。
「なら、早く終わらせて立花も一緒に参加しよう。その方が先輩も、監督も喜ぶと思う」
「ううん、私はいいよ。劇団のみんなで楽しんで。ほら、行った」
「……分かった。今日は帰るよ。帰りはタクシー使って帰れよ?」
「えー。タクシー代勿体ないから、歩いて帰るよ」
立花が今日は折れそうになかった。1人になりたかったのだろう。だから俺は帰ることにした。帰って今日のこと話すと、先輩に怒られそうだけど。明日は寮に誘おう。なんなら、監督に迎えに来てもらおう。
「タクシー代は渡すから。じゃ、また明日」
「うん、ありがとう。じゃ、また」
俺は結構多めにタクシー代を置いた。
“じゃ、また”
いつも通りの立花の挨拶のはずなのに、今日は何故かそう聞こえなかった。これから当分会えないかのように思えた。
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てら(プロフ) - 自分にも似た様な経験があるので主人公の気持ち痛いほど良くわかります。主人公がまた職場に戻って欲しい気持ち半分、無理しないで欲しい気持ち半分です。この暖かい環境で主人公がまた心から笑える日を楽しみにしています。続き楽しみにしています、頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: dc9ce9c8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ginmikoto(プロフ) - 上司に殺意が湧きました。至さんも千景さんもツートップで推しなので恋愛でどちらかを選ぶなんて、私はおそれおおくて出来ませんね笑。でも、更新すっごく楽しみにしてます!頑張ってください!そして至さんの教育係の人に惚れました。笑 (2019年4月4日 0時) (レス) id: 91596e022c (このIDを非表示/違反報告)
椏萌☆紅弥 - これは泣くな。(確信) この話や読んだら寝ようと思っても続きが気になって更新されてる分全部読んじゃいました笑 頑張ってください! (2018年10月22日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - やばい…たるちもチカちょんもイケメソすぎるて。 (2018年7月1日 20時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 千景さんかっこいい…頑張ってください!! (2018年6月14日 21時) (レス) id: dc516c7501 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:李人 | 作成日時:2018年5月12日 10時