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Aside
昨日は茅ヶ崎に助けられた。正直、中野さんとの商談のあとどうやって会社に戻ったのかも記憶ないし、家に帰ったのも記憶にない。記憶があるのは会社の休憩室で茅ヶ崎と少し話して(茅ヶ崎がほとんどだけど)、あっっまいコーヒーを飲んだことだけ。それも結局1口2口飲んだくらいで、甘すぎて飲めなくて茅ヶ崎のと変えてもらったけど。
そして今日は、いつもより遅めに出社した。というかせざるを得なかった。昨日泣いたせいか目の周りは腫れていて、いつも通りの化粧では隠れなかったから頑張ったら遅くなった。次からはちゃんと対策をしよう。
「おはよ、立花」
「茅ヶ崎、おはよ。今日寝坊しちゃってさ、遅くなっちゃった」
何も変わらず、挨拶してくれた茅ヶ崎。私はわざと明るく、歳も気にせず「テヘッ♡」みたいなことをやってみた。似合わないのは分かってるから、何も言わないで。
「…無理するなよ」
「分かってるよ。私、そこまで弱くないから」
そう言い切り、デスクに座る。今日あの上司は商談とかで、午後からの出勤らしい。このまま全休してくれればいいのに。
「そういえば今日、千景さん帰国日じゃん。誰か迎えにとか行ってんの?」
昼休憩時、食堂で茅ヶ崎に聞いていた。なんとなくだけど、いづみとかが「迎えに行きます!」とか言ってそう。
「あー、うん。咲也とシトロン、丞が」
「人多いな。それなのに、いづみは行かなかったんだ。そういうの率先して行きそうなのに」
「予定が入ってたらしい。凄く落ち込んでた」
「いづみらしいや」
私は笑って言った。本当にいづみは、劇団員のこと好きなことが分かる。いづみにとって第2の家族みたいなもんだろう。
「昨日はありがとうね」
話も一区切り着いたので、ちゃんとお礼を言った。多分茅ヶ崎は昨日の話を触れないようにしてくれる。だからこそ、私から切り出さないと何も進まない。
「本当だよ。自分で甘いの飲みたい言ったのに、1口ぐらいしか飲まないで俺のと交換して」
茅ヶ崎は笑った。本当はそこに対してのお礼じゃないんだけど、茅ヶ崎は察してくれたのだろう。
「だってあんなに甘いとは思ってなかったから」
「そもそもブラックしか飲まない奴が、甘いのを飲もうとするからそうなるんだよ」
「ごめんゴメン。茅ヶ崎がブラック買ってて助かった」
「あれ、俺のだったけどな」
茅ヶ崎はそう言い笑った。私もそれに釣られて笑う。本当、優しい同期。ありがとう。
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てら(プロフ) - 自分にも似た様な経験があるので主人公の気持ち痛いほど良くわかります。主人公がまた職場に戻って欲しい気持ち半分、無理しないで欲しい気持ち半分です。この暖かい環境で主人公がまた心から笑える日を楽しみにしています。続き楽しみにしています、頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: dc9ce9c8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ginmikoto(プロフ) - 上司に殺意が湧きました。至さんも千景さんもツートップで推しなので恋愛でどちらかを選ぶなんて、私はおそれおおくて出来ませんね笑。でも、更新すっごく楽しみにしてます!頑張ってください!そして至さんの教育係の人に惚れました。笑 (2019年4月4日 0時) (レス) id: 91596e022c (このIDを非表示/違反報告)
椏萌☆紅弥 - これは泣くな。(確信) この話や読んだら寝ようと思っても続きが気になって更新されてる分全部読んじゃいました笑 頑張ってください! (2018年10月22日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - やばい…たるちもチカちょんもイケメソすぎるて。 (2018年7月1日 20時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 千景さんかっこいい…頑張ってください!! (2018年6月14日 21時) (レス) id: dc516c7501 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:李人 | 作成日時:2018年5月12日 10時