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私は電車で寝てしまったため気づかなかったが、朱華町駅手前で起きた時茅ヶ崎は隣にいた。天鵞絨駅は朱華駅の2駅前のはずなのに。
「あ、立花起きたか。おはよう」
茅ヶ崎は何も変わった様子はなく、私に声をかける。
「茅ヶ崎、天鵞絨で降りるんじゃなかったの?」
「あー……実は立花と一緒で、さっきまで寝ててさ。起きたら天鵞絨過ぎてたから、立花を送ってから帰ろうと思って」
寝過ごしたから送ってくとか、やることイケメン過ぎないか?ただの同期の私に、そこまでしなくていいのに…。
「今日の夜は、時間ある?稽古とかない?」
「先輩、明日から出張だし今日は無かったかな」
「じゃあ、宅飲みする?宅飲みなら、酔い潰れても平気だし」
「…お言葉に甘えて、お邪魔しようかな」
冷静を保ってるつもりだろうけど、目の奥がキラキラと輝いてるのが分かる。そんなに楽しみなのか?
ちょっと可愛い奴だなと思ったのは、口に出すと怒られそうなので私だけの秘密。
「立花、いつもこの道歩いて帰ってんのか」
駅から家までの道を2人で歩いてると、茅ヶ崎が辺りを見渡しながら言った。
「都内ではあるけど、のどかでいいでしょ?」
朱華町は天鵞絨とは違い、建物がそんなに無い。あっても古民家カフェなどだ。高層ビルなどはない。
天鵞絨は演劇の街なら、朱華町は歴史の街。だから外観にもこだわって、街灯も昔ながらのデザインのものが多い。
「まぁのどかではあるけど、流石に暗すぎ。ここ1人で歩いてるとか、危機感なさすぎ。いくら間違えられるとしても、立花は女性なんだよ?もうちょっと通る道考えろ」
「家に帰るのにここが1番、明るいんだよ。それに今まで何も無かったし、大丈夫だよ。茅ヶ崎は心配性過ぎ」
笑って言った。茅ヶ崎の心配性が、左京のいづみに対する過保護と似ていて面白い。
「……これからはできるだけ、帰り送るから」
軽くため息を吐いて、茅ヶ崎が言った。帰り送る?通り道ならまだしも、天鵞絨の2つ先。遠回りになる。そして今日はたまたま電車だっただけで、茅ヶ崎は大体マイカー通勤だ。帰る方向が同じわけがない。
「いいよ、申し訳ないし。私なら大丈夫だよ」
「俺が心配だから、送る。もちろん、立花に拒まれてもやるから」
ここまで言われたら、素直に言葉に従うしかないと思ってしまった。だって何気に茅ヶ崎、頑固だし。
「…じゃあお願いします」
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てら(プロフ) - 自分にも似た様な経験があるので主人公の気持ち痛いほど良くわかります。主人公がまた職場に戻って欲しい気持ち半分、無理しないで欲しい気持ち半分です。この暖かい環境で主人公がまた心から笑える日を楽しみにしています。続き楽しみにしています、頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: dc9ce9c8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ginmikoto(プロフ) - 上司に殺意が湧きました。至さんも千景さんもツートップで推しなので恋愛でどちらかを選ぶなんて、私はおそれおおくて出来ませんね笑。でも、更新すっごく楽しみにしてます!頑張ってください!そして至さんの教育係の人に惚れました。笑 (2019年4月4日 0時) (レス) id: 91596e022c (このIDを非表示/違反報告)
椏萌☆紅弥 - これは泣くな。(確信) この話や読んだら寝ようと思っても続きが気になって更新されてる分全部読んじゃいました笑 頑張ってください! (2018年10月22日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - やばい…たるちもチカちょんもイケメソすぎるて。 (2018年7月1日 20時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 千景さんかっこいい…頑張ってください!! (2018年6月14日 21時) (レス) id: dc516c7501 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:李人 | 作成日時:2018年5月12日 10時