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「あんた、誰」
茅ヶ崎が言った通り碓氷は、部屋の前で出待ちをしていた。
「…俺?俺はいづみの彼氏」
ごめんよ。一途な碓氷を見て、からかいたくなってしまった。
「は?」
「聞こえなかった?俺がいづみの彼氏だから。だからいづみの周り、うろつくのやめてくれない?……何ですか、千景さん」
冷たく言ってみたら、後から千景さんに軽くチョップされた。
「A、年下をからかうな」
「からかってないですよ。可愛くって、ちょっと遊んじゃっただけです」
「それがからかってるんだよ」
「…ごめんね、碓氷。私、いづみの妹だから。心配しないで」
「……嫌い」
安心してるような、拗ねてるような感じで言った碓氷。やっぱり可愛い。
私がいづみの部屋に入ると、碓氷も着いてきた。私を睨みながら。
「…いづみ、朝だよ。そろそろ起きようよ」
声を低くして、男声で言う。いづみはソファーで寝てるので、横に寝ることは出来ないから思いっきり顔を近づけた。起きそうにないので、フッと耳に息をかける。
「……ん」
我が姉ながらえr((
「おはよう、いづみ。昨日はよく眠れた?」
「…おはよう、A。真澄くんもおはよう」
碓氷に気づいても驚かないってことは、これが普通なんだなと思うことにした。いや〜、モテるって大変だね。
「A〜服選んで」
「自分でそれくらいできるでしょ」
「Aの方がオシャレだし、センスいいし」
「分かったよ。はい、碓氷。今からいづみ着替えるから、部屋から出よっか」
そう言うと大人しく部屋から出る碓氷。こういうのはちゃんと聞くんだ。意外。
「まさか、Aが至さんたちと同じ職場なんて思わなかったよ〜」
着替えながら、ニコニコと言ういづみ。連絡もくれないしと爆弾もちゃんと落としてくる。
「ごめんね。いづみがお父さんの劇団の監督やってるって聞いてたし、茅ヶ崎からは毎日のように寮の話聞いてたから忙しいだろうなと思って連絡しなかったんだよ。でも左京にも怒られたし、これからはちゃんと連絡するね」
「もうここ住むのは?私と一緒の部屋で」
相変わらず着替えるのが早いいづみは、両腕を広げくるくると回る。
「丁重にお断りします」
わざと満面の笑みで言ってみる。
「なんで?そんなにお姉ちゃんと一緒になりたくないの?」
「そんなんじゃないよ。もしここで一緒に暮らしたら、私が一人暮らしした意味ないじゃん」
「それもそっか」
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てら(プロフ) - 自分にも似た様な経験があるので主人公の気持ち痛いほど良くわかります。主人公がまた職場に戻って欲しい気持ち半分、無理しないで欲しい気持ち半分です。この暖かい環境で主人公がまた心から笑える日を楽しみにしています。続き楽しみにしています、頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: dc9ce9c8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ginmikoto(プロフ) - 上司に殺意が湧きました。至さんも千景さんもツートップで推しなので恋愛でどちらかを選ぶなんて、私はおそれおおくて出来ませんね笑。でも、更新すっごく楽しみにしてます!頑張ってください!そして至さんの教育係の人に惚れました。笑 (2019年4月4日 0時) (レス) id: 91596e022c (このIDを非表示/違反報告)
椏萌☆紅弥 - これは泣くな。(確信) この話や読んだら寝ようと思っても続きが気になって更新されてる分全部読んじゃいました笑 頑張ってください! (2018年10月22日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - やばい…たるちもチカちょんもイケメソすぎるて。 (2018年7月1日 20時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 千景さんかっこいい…頑張ってください!! (2018年6月14日 21時) (レス) id: dc516c7501 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:李人 | 作成日時:2018年5月12日 10時