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「妹さんでしたか。間違えてしまってすいません」
そう言いながら彼は、キッチンから出てきた。
「立花Aと申します。いつも姉がお世話になってます」
とりあえず私は自己紹介。キッチンから出てきた人は、伏見臣と言うらしい。それも左京と同じ秋組。秋組の父と母だったら面白いな。
「Aさんは、朝食食べました?」
「…そういえば食べてないです」
「じゃあAさんの分の朝食も準備しますね」
そう言ってキッチンに戻る伏見。優男だ。
左京を見ると、ソファーで新聞を読んでいた。そこに珈琲を持ってくる伏見。いや、夫婦かって。
「Aさんも良ければどうぞ」
「え、ありがとう」
普通に私のところにも珈琲を持ってきた伏見。ミルクと砂糖も置いてある。
「お前、監督と全然連絡とってなかっただろ」
「だって母親からいづみが劇団の監督になったって聞いてから、忙しいだろうなと思って連絡くるの待ってた」
「そういうところ、変わってないんだな」
そう言い、私の頭に軽く手をのせた。子供扱いされてる気がするけど、これはこれで落ち着くので何も言わないでおこう。
「監督はお前から、連絡してほしいんだよ。だからたまにでいいから、連絡してやれ」
「…分かった」
伏見が作ってくれた朝食を食べてると、劇団員がぼちぼちと起きてきた。左京の舎弟とか、昨日会ったイケメンくんとかいろいろ言われたけど、とりあえず自己紹介して皆の名前も教えて貰った。人の名前は仕事柄、覚えるのが得意なのですぐ覚えられた。
「おはよう。…立花、体調は大丈夫か?」
先輩は談話室に入ってすぐ、私の方に来て言った。皆、目を丸くしてるように思えるけどなんでだろ?
「二日酔いとかはしないタイプなんで、大丈夫です。昨日はお礼だったはずなのに、申し訳ありません。全額払うので教えていただけませんか?」
「なら良かった。金額は覚えてないから良いよ」
「え、でも、そんな訳には…」
私がそう言ったら、先輩は微かに笑った気がした。
「じゃあ、先輩呼びやめて。名前で呼んでよ」
そう言い、ソファーに座ってる私にいわゆる顎クイをした。後ろの方で椋と一成が騒いでるのが聞こえる。先輩、左京が隣にいるのに気にしないのすごいな。
「そんなのでいいんですか?」
「うん。そんなのが良いの」
「分かりました。じゃあ千景さんって、呼ばせてもらいますね」
私も千景さんに負けじと、演劇で鍛えられた王子様スマイルで返した。
「…は?」
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てら(プロフ) - 自分にも似た様な経験があるので主人公の気持ち痛いほど良くわかります。主人公がまた職場に戻って欲しい気持ち半分、無理しないで欲しい気持ち半分です。この暖かい環境で主人公がまた心から笑える日を楽しみにしています。続き楽しみにしています、頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: dc9ce9c8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ginmikoto(プロフ) - 上司に殺意が湧きました。至さんも千景さんもツートップで推しなので恋愛でどちらかを選ぶなんて、私はおそれおおくて出来ませんね笑。でも、更新すっごく楽しみにしてます!頑張ってください!そして至さんの教育係の人に惚れました。笑 (2019年4月4日 0時) (レス) id: 91596e022c (このIDを非表示/違反報告)
椏萌☆紅弥 - これは泣くな。(確信) この話や読んだら寝ようと思っても続きが気になって更新されてる分全部読んじゃいました笑 頑張ってください! (2018年10月22日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - やばい…たるちもチカちょんもイケメソすぎるて。 (2018年7月1日 20時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 千景さんかっこいい…頑張ってください!! (2018年6月14日 21時) (レス) id: dc516c7501 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:李人 | 作成日時:2018年5月12日 10時