ヒメ【東京リベンジャーズ】参 (ページ20)

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「おい、愛美愛主！自分らだけ逃げようとしてんじゃねぇよ。長内に肩貸してやれ。」

「は、はい！」

『ドラケン、聞いてる！？』

「うるせぇな！」

ドン！

依然騒いでいるわたしの後ろから何かが長内へとぶつかった。
次の瞬間口から血を吐く長内。

『！？』

視線をうつせば長内の腰あたりに刺さっているナイフ。

それを握っていたのは、

パーちんだった。

『パー…ちん…？』

「てめぇだけは許せねぇんだよ、長内。」

異変に気づいたドラケンがパーちんを突き飛ばす。

「何やってんだよ、パー！」

いつもはどんな時も落ち着いているドラケンの声が今はとても焦っているように聞こえる。

当たり前だ。

わたしもとても焦っている。

『ドラケン、どうしよう…長内？大丈夫？長内？』

「長内ッ！長内ッ！」

だけど、パトカーの音は容赦なく近づいてくる。

どうしよう、どうしたらいい？
焦る気持ちに頭が追いつかない。

マイキーが叫ぶ。

「逃げるぞ、パー！」

逃げる……？
たしかに今なら逃げられるかもしれないけど…

本当にそれでいいの…？

でも、パーちんを置いていけない、

動かない頭を必死に動かしているとパーちんが口を開いた。

「ごめんマイキー…ぺーやん、参番隊を頼む。」

「俺…自首する。」

『パーちん…』

涙を浮かべながらそう言ったパーちんに何故だかわたしも涙が溢れてくる。

「…ッ、ふざけんな！」

暴れるマイキーをドラケンが連れていく。

わたしも行かないといけないのに

足が動かない。

パトカーの音はもうそこまで来ている。

「A！早く来い！」

ドラケンの声が聞こえる。

分かってる。

頭では分かってるのに足が動かない。

「A！！」

涙を流して動こうとしないわたしを見てパーちんが言う。

「A、ごめんな。…東卍を、マイキーを頼んだぞ。」

『パー、ちん…』

動かないわたしを見かねて戻ってきたドラケンがわたしを抱えて走りだす。

パーちんの背中が遠ざかっていく。

『…ッ、パーちん！待ってるから、みんなで待ってるから！』

どんどん小さくなっていく背中にわたしは叫んだ。

そしてとうとう見えなくなった背中。

涙は全然止まらなかった。