ヒメ【東京リベンジャーズ】弐 (ページ10)

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ガチャ

早朝。
わたしはマンションの屋上へ向かうため家を出た。

『さっむ！』

みんなと一緒に見れなくても、みんなの見てる初日の出を見に行くために。

屋上は誰もいなかった。
空は少しずつ明るくなってきている。

初日の出の時間を調べていたら知った事。
みんなが行くと言っていた九十九里とここでは日の出る時間が違うらしいのだ。九十九里の方が早い。

ここで初日の出を見ていてもその瞬間を分かち合う事は出来ないけれど。
もうしょうがない。
こういうのは気持ちの問題だ。

それにしても。

『寒い…』

毛布でも取りに行こうかと迷っていたら携帯が鳴った。

『…もしもし。』

「はは、機嫌悪。」

マイキーだ。

『だって、わたしも行きたかった。』

「オレも。Aと見たかった。」

『…』

マイキーはずるい。
そんな事言われたら何も言えなくなる。

「何してたの？」

『初日の出…見ようと思って、屋上にいる。』

「うん、Aはそうすると思ったよ。」

『…マイキー知ってた？』

「何？」

『そっちとこっちじゃ初日の出の時間が違うんだよ。』

「そうなの？」

『うん。そっちの方が早い。』

「どのくらい？」

『15分くらい？』

「随分違うね。」

『そっちはもうすぐ？』

「うん、そろそろ。」

「どうした？マイキー」

マイキーの後ろからドラケンの声が聞こえる。
あぁ、やっぱり一緒に行きたかったなぁとまた思う。

「日の出だ!!」

マイキーが叫んだと同時に太陽が出てくるであろう場所を見ながらマイキー達が見ている日の出を想像する。

「ケンチン、A。」

『？』

「掴めんぞ。天下！」

『…』

天下…

「ああ、今年は全国制覇だ！」

『うん、ずっとついて行くよ。マイキー。』

その後マイキーは口を開かなかった。
日の出を見ているんだろう。
電話は繋がっているのに静寂の世界。

だけど、それは心地の良いものだった。

来年も初日の出見に行きたいって行ったらみんなは来てくれるかな。

スマイリーあたりが「さみぃからやだ。」とか言いそうだな。アングリーが宥めてくれるかな。

パーちんとぺーやんは食べ物で釣ろう。

三ツ谷は絶対来てくれる。三ツ谷が来るなら八戒も。

マイキーは気分かな？朝から機嫌取り頑張ろう。
マイキーが来れば絶対ドラケンも来る。

圭介はなんだかんだ文句言いながら来てくれるんだろうな。圭介が来れば千冬もきっと来てくれる。