#5 ページ6
『ハァ、あー笑った。』
圭介が怒鳴れば怒鳴る程いつもの圭介と見た目とのギャップが面白すぎて笑いが止まらなかった。
ほんと今年いちばん笑ったと思う。
「お前、覚えとけよ。」
ガリ勉姿のままだとキリがないのでいつもの姿に戻って貰った。今はいつものロン毛圭介だ。
『マイキー達にも言っとくね。見た方が良いって。』
「言うな。ったく、てめぇは何しに来たんだよ。」
…そうだった。
今日の目的は圭介じゃない。
笑いすぎて忘れていた。
今日の目的は千冬くんだ。
とりあえず、先程から黙ってこちらを見守っている千冬くんに謝罪をしなければ。
『ごめん、千冬くん、全部圭介のせい！』
「い、いえ！」
「あ？なんでだよ！」
ふと気づく。
先程まであんなに固まって動けなかったのに今は普通に話せている。
まだ少し心臓は早い気もするし緊張もしているが、さっき程ではないのでこれなら話が出来そうだ。
ひとしきり笑ったからだろうか。
これは圭介に感謝かな。
ペヤングは食べないであげようと思い直す。
『えっと、じゃあ説明するね…ここでいいよね？圭介。』
「あぁ、誰もいねぇし。いいんじゃねぇの。」
わたしは千冬くんに東京卍會について話をした。
構成、メンバー、考え方、今の立場、その他諸々。
『…東京卍會は仲間がひとりやられたら全力でそのチームを潰しに行く。だから何かあったら言ってね。』
「はい！」
まぁ、圭介が近くにいるから大丈夫だと思うけれど。
『じゃぁこれくらいかな。』
わたしは立ち上がって今できる精一杯の笑顔で言う。
『ようこそ、東卍へ！』
「よろしくお願いします！」
「終わったかー？」
後ろの席で片肘をついて話を聞いていた圭介が立ち上がる。
「じゃ、帰んぞー。」
「はい！」
教室を出ていくふたりの後についていく。
ふたりの後ろを歩きながら千冬くんの後ろ姿を眺める。
(後ろ姿もカッコ良いんだなぁ…)
後ろからなら思いきり見ていられる事に気付き、遠慮なく観察させてもらう。
金髪と黒髪のツーブロックなんてオシャレだな。
ピアスもしてる。
昇降口で靴に履き替えていると圭介が話しかけてくる。
「A、この後なんか予定あんのか？」
『いや、特にないかな。』
強いていうなら勉強かな。ここ2日間の授業が全然頭に入ってないのでちょっとやばい。
「じゃあお前もうち来いよ。オフクロが会いたがってる。」
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作者名：Tmwixx | 作成日時：2022年9月24日 11時
