ヒメ【東京リベンジャーズ】弐 (ページ48)

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話終わって、下を向いたわたしを千冬が呼んだ。

「A」

顔を上げてみれば両手を広げた千冬と目が合う。

「おいで」

素直に千冬の中へ飛び込めばぎゅーってしてくれる。

耳を支配するのは千冬の心臓の音。
息をおもいっきり吸い込めば千冬の匂いで肺がいっぱいになる。

わたしの大好きな場所。

何もかもが溶かされていくような感覚。

浄化されていく感覚。

しばらくそうしていたら、
ふと、千冬が口を開いた。

「あんま気にしなくてもいいと思うけど。」

わたしはそのまま千冬の声を聴く。

「泣きそうになってる仲間がいたら励ますのが普通だろ。総長側近だからってあんまり気負いすぎても疲れるだけだろ？支え合っていけりゃいいんじゃないかって俺は思う。」

『千冬…』

「まぁ、気持ちが分からない訳じゃねーけど。」

一呼吸おいて千冬は続ける。

「マイキー君をまもりたいってAの気持ちも知ってるし、俺も似たようなもんだから。」

『圭介？』

「そう。でもずっと気張ってたら疲れちゃうから、今日みたいに落ち込んだり凹んだりしたら俺の所に来なよ。こうやっていつでもぎゅーってしてやるから。」

そう言ってわたしの背中にまわした腕の力を強くする。

「その代わり、俺が凹んだらAがぎゅーってしろよ」

その言葉を聞いて千冬もわたしと同じなのかなと思うと嬉しくなった。
わたしのぎゅーで良ければいつでもする。

というか、

『凹んでなくてもしたい。』

って思わず口に出してみれば

「…」

少し間が空いてから

「俺も！」

って笑顔で答えてくれた。

千冬のこの笑顔だけでも元気になれる。
ほんと、わたしは千冬が大好きだ。

もっと千冬を堪能しようと再び千冬にしがみつけば、

ぐぅ～

わたしの耳元でお腹の虫が鳴く。

「…お腹空いた。」

なんだこれ。可愛すぎかよ。
食べちゃいたい。

いきなりダダ漏れた本音を心の奥にしまって、
元気良く立ち上がる。

『ご飯にしよっか！』

ありがとう。千冬。