#4 ページ29
「…あ？なんだこの状況、」
「場地さん！」
圭介だ。
涙でぐちゃぐちゃのわたしとわたしの腕を抑える千冬を見て困惑している。
「場地さん！タオルかティッシュ持ってないですか！？」
「んなもん持ってねぇーよ。」
「俺、家から持ってくるんで！場地さん、Aさんの腕抑えてて下さい！」
「お、おぉ。」
千冬の圧に押されている圭介。レアだ。
言われるがままわたしの腕を抑える圭介。
「じゃあちょっと行ってくるんで！」
そう行って駆けていく千冬。
「…」
『…ッ、』
涙と鼻水でぐちゃぐちゃのわたしを見て圭介が言う。
「…何？お前フラれたの？」
声を出すと余計涙が出てきそうだったので、
首だけを振って圭介の質問に答える。
「…？じゃあなんで泣いてんだよ？」
この状況で質問してきたぞ。
答えなきゃ駄目なの？
でもめっちゃ見てくるから答えなきゃ駄目なやつだ。
『千…ッ冬に…ッ好き、だって…ッ言った、ら…ッ!!』
もうボロボロだ。自分で何を言っているか分からない。
伝わったかな？
「…千冬もお前を好きだって？」
伝わっている。
首をブンブン縦に振って答える。
「そっか。」
圭介はそう言ってから律儀に腕を抑えていた手をわたしの頭へ持って来て、
「良かったな。」
そう言って優しい顔で笑った。
その瞬間更に涙が溢れ出す。
もう崩壊だ。
そして叫んだ。
『け……っけい…っずげーーー!!』
「うおっ！」
『げいっ、ずげっ!!』
「何だよ？つか喋んな。汚ぇ。」
酷いなコイツ。
でも頼みがあるので構わず喋る。
『わだし、をッ、殴っ、て！！！』
「あ？」
『夢、だった、らッ、嫌だか、らッ、』
「夢じゃねぇよ。だから黙ってろ。」
『なぐっ、て！！』
「あぁ！？面倒臭ぇな！」
ベシンッ
手加減を知らない圭介の手がわたしの頭を叩く。
『い、いだいッ……！』
夢じゃない。
これは夢じゃないんだ。
そこへ千冬が戻ってくる。
「場地さん！何更に泣かしてんすか！」
「あ！？」
「す、すみません…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Tmwixx | 作成日時：2022年9月24日 11時
