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万次郎の隣へ歩いて行くと
視界の隅に遊具で遊んでいた上級生達が
こちらへ来ようとしているのが映る。
近づいてきて気付く。
わたし達の前まで来た人達は小学生とは思えないくらい体格の大きな人達だった。
その中でも一際大きな人がわたし達を、
……いや、わたしを見下ろして言った。
「お前らなに勝手に入ってきちゃってんの？」
(いやここ公園だし、先に入ったの万次郎だし、なぜわたし？)
と、言ってみる。
勿論、心の中で。
『……』
何も言わないのが気に食わないのか、
すぐ出ていこうと動かないのが気に食わないのか。
さっきよりも大きな声で更に近づいてくる。
「何？聞こえてねぇの？耳ついてる？」
『……』
自分では落ち着いているハズなのに体は正直だ。
手が震えている。
心臓の音がうるさい。
怖いんだ。
だけど、なんでだろう。負けたくないと思った。
逃げたら負けだと思ったから、動かなかった。
いや、体が固まって動けないだけだけど！
「何か言えよ、なぁ！」
と、更に近づいてきたかと思ったら、
肩を押された。
その衝撃で尻もちをついてしまう。
『ッ、』
上級生との力の差なんて歴然で。
負けなくないと思った所でこんなに簡単にやられてしまう。
悔しくて仕方がなかった。
「A！しゃがんでろよ！」
(万次郎？)
万次郎はいつのまにか遠くの方にいて、
わたしに声を掛けたと同時にこっちに走ってくる。
そしてすごく、すごく跳んで
わたしの肩を押した人に飛び蹴りを入れた。
――時が止まった気がした。
すごく、
綺麗だと思った。
「しょうちゃん！しょうちゃん！」
「なんだよ、アイツやべーじゃん」
「どうするよ！」
「女に手ェ出すとか最低。来るなら来いよ、全員まとめて相手してやるよ。」
「…ッくそ！」
「とりあえず今日は帰るぞ！」
「しょうちゃん！しょうちゃん！」
余裕の万次郎にそそくさと帰っていく上級生達。
「結局逃げるのかよ。つまんねぇの。平気か？A？」
『……』
「A？」
わたしは固まって動けない。
怖いのではない。
さっきの万次郎の飛び蹴りが頭から離れない。
…今、何が起きた？
上級生に絡まれて、
肩を押されて、
その上級生に万次郎が跳んで蹴りを入れた。
…万次郎が？
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作者名：Tmwixx | 作成日時：2022年7月23日 10時
