私の赤色ヒーロー【赤】 (ページ7)

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「いやー、まさかAやったとはな」

「なあ淳太くーん」

『しげ、ここでは先生やろ？』

「なんでや～！ダメなん？」

『まあ、別にダメやないけどさ』

「じゃあ淳太くんって呼ぶなー！」

顔全体を使って、キラッキラな笑顔を見せるしげ。

こいつも、あんまり変わってないな。

「なあ、やっぱり忘れてもうてるん？」

『…ああ』

「別に、Aが悪いことなんて無いやんか」

「悪いのは、全部…」なんて悲しそうに呟くしげを、俺は何回見てきたんやろう。

Aもしげも、ひとつも悪いことなんてしてない。

『そうやって、自分のこと責めたって変わらんやろ？』

「…っ」

…あ、

「じゃあ、どうすれば変われるん…？」

小さく呟いたしげの目は、光を失っているように見えた。

『しげ…っ、ごめん。そういうつもりで言ったんじゃ』

「…！ごめんな、変なこと言ってもうて。俺、そろそろカウンセリングの時間やから！」

そう言い、しげは階段の方へと走って行ってしまった。

あー、やってもうた…。

俺たち医者は…

特に精神科の医者は、自分の考えを軽率に発したり押し付けたりしてはいけない。

ここの病棟の患者は、それに従ってしまったりすることが多いから。

特に、しげとAは自尊心が異常に低い。

さっき、しげはあんなことを言っていたけど

きっと今頃自分を責めているはずや。

自分のこと認めてあげたら、楽になるんやけどな…

それに、この前だって
「先生…！」

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