私の赤色ヒーロー【赤】 (ページ5)

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『あ、女の子や』

急に、何。

『なあ、ちょっとー』

…笑ってる？

『ちょ、しげ。あんまりいじめんといて』

『いや、いじめてないやーん！笑どんな顔してるか気になるわ。…ｯあ』

…見られた？

今、見られた？

嘘。もう、いや。

どっかいって。もうやめて。

"しげ"と呼ばれるその子と、中間先生を押しのけて自分の病室へと走った。

「っハア、ハア」

久しぶりに走ったから息も切れる。

…最悪だ。

確実に見られた。

コンタクト付けてないのに。

眼帯してないのに。

ここでも居場所を無くすのか。

もう、何もかも無理なのか。

手遅れだ。

もう、ダメだ。

脈がドクドクと波打つ。

何となく震えてる気さえする。

すると、左腕に痛みが。

血が、出てる。

右手には、カッターが握られていた。

これは、夢？

嫌、違う。

現実だ。

左腕にも痛みが走っていた。

あーあ、またやっちゃった。

せっかく抑えられてたと思ったのに。

怒られちゃうよ。

お前のせいだ。お前のせいだ。

お前のせいだよ。

そのとき、ガラガラっ！と音をたて、勢いよく先生が走ってきた。

『ごめん』

そう一言放ち、私を抱きしめた。

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