私の赤色ヒーロー【赤】 (ページ2)

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霞んでいる景色。

滲んでいるようにも見える。

白い天井。

そういえば、見たことがある。

左から聞こえる規則的な機械音。

そういえば、聞いたことがある。

ここは、病院か。

重すぎる瞼を無理やり開けると、完全に視界が開ける。

…と思ったら、思いっきり景色が歪んだ。

鈍器で殴りつけるような痛みが、頭を侵食する。

「…ぅん…っ！」

その時、どこからか足音が聞こえてきた。

誰かが、どんどん近づいてくる。

…目の前で止まった。

「…！！せ、先生…！」

その"誰か"は、先生と呼ばれる人の元へと走っていった。

『静かに。他の患者さんも居るんやで？』

「すみません…。あのっ…Aさんが意識を」
『すぐ行く』

Aとは、私のことだろうか。

そんなことを考えながらも、頭の痛みは増している気がする。

『どうや、気分は』

…急にそんなこと聞かれても。

「…ぅうん…っ！」

意識が、ちぎ、れる…

『鎮痛剤持ってきて』
「は、はい！」

点滴、嫌いなのに。

チクッとするでーの言葉を合図に、腕に針が刺された。

2、3分ほどすると痛みはだんだんと引いていき、会話が出来るまでになっていた。

『どうや、気分は』

さっきと同じ質問。

「…大丈夫です」

『俺は誰か分かるか？』

「中間先生」

そりゃ、何年もお世話になってますから。

『じゃあ、ここはどこか分かるか？』

「…HCU」(→高度治療室)

『おまっ、用語使うなや笑
でも、ちゃんと答えられるな。』

『異常はなし、っと』
何かの紙に書きながら、そう呟く。

『…なんで、コール押さなかったん？結構危なかったで。もう5回目やけどさ』

助かりたいと思わかなかったから。

そんなことを言ったら、この人は何て言うだろうか。

きっと激怒する。

自分の命を何やと思っとんねん。
簡単に命を捨てようとすんな。

絶対、そういうに決まってる。

「…頭痛くて押せませんでした」

『そうか。でも、もし別の理由が無くてもな、あの部屋に移されるかもしらん』

…あの部屋か。

別に、いいし。

普通の病室にいても、することなんてない。

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