▽ ページ19
▲▽▲▽
瞼を開けると目の前に広がるのは白い天井。首を動かして周りを見ると、水色のカーテンで空間は仕切られていた。なんとなく薬品のような匂いはするが、病院のような居心地悪い空間ではない。
「光くん……」
カーテンを少し開け、躊躇いながら顔を覗かせたのは裕翔。僕と目が合った瞬間、裕翔は咄嗟に下を向いた。
「さっきは……ごめん」
裕翔は頭を下げて謝った。しなやかな体を勢いよく曲げ、僕がいいよと言うまで頭を下げたままだった。
「光くんのこと……知らなくて、腕掴んじゃったから……」
言葉を詰まらせながら一生懸命に言う裕翔。そこまで謝られると、こっちまで申し訳なくなってしまう。
「言ってなかった俺も、悪いから……」
僕は体を起こした。まだ頭がガンガンして、視界が回る。よろめいた僕の体を、裕翔が支えてくれた。
チャイムが鳴る。外は既に暗く、街灯がほんのりと輝いていた。静まり返った空間に、裕翔が息を吸い込む声が聞こえた。
「光くん……」
「ん?」
「こんなときに言うのもどうかと思うけど……」
__有岡くん、八乙女が付き合い悪いって、怒ってた。
裕翔は言いづらそうに下を向いたが、俺は咄嗟に裕翔の肩を叩いた。
「誤解だよ」
「でも……」
「大ちゃんはそんなこと言わない。それに僕のこと、八乙女じゃなくてひか、って呼ぶし。誰かと間違えてるんじゃない?」
「でも、誰かが光くんの悪口言ってるんだよ、許しちゃうの?」
「僕には、僕を信じてくれる人だけいればいいから。僕もその人だけを信じるよ」
裕翔はごめん、と一言呟くと、足元に置いていたカバンとブレザーを手に取った。
「俺、もう帰るね」
「うん」
光くんも一緒に帰る?と誘われたが、まだ頭の感覚はふわふわとしていたからとりあえず断った。裕翔は踵を返すと、元気のなさそうな後ろ姿を見せながら教室を出た。
109人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しふぉんぬ(プロフ) - うみさん» ヤンデレ通り越して軽くサイコパスですが。 (2018年4月17日 22時) (レス) id: 731333610b (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ヤンデレっていいよね !! 裕翔君のキャラすこ (2018年4月17日 21時) (レス) id: 0912b72df7 (このIDを非表示/違反報告)
しふぉんぬ(プロフ) - ムーミルさん» ムーミルさん初めまして!コメントありがとうございます。楽しんでもらえてるようで私も嬉しいです(*^^*) 更新も頑張りますのでこれからもよろしくお願いします( ..)" (2018年4月6日 18時) (レス) id: 731333610b (このIDを非表示/違反報告)
ムーミル - 初めまして。君と溺れて、ドキドキしながら読ませていただいています。 影なから応援していますので焦らず更新頑張ってください! (2018年4月6日 18時) (レス) id: 0645e67767 (このIDを非表示/違反報告)
しふぉんぬ(プロフ) - ラーグさん» 既視感のある設定ですみませぬ ありがとう!頑張りマース (2018年4月2日 7時) (レス) id: 731333610b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ