2 ページ10
.
Aさんの記事は面白い。
贔屓目もあるだろうけど。
クイズに慣れていない読者を惹き付けるのがとても上手な記事やと思う。
後ろから覗けば、今回は夕飯の記事。
「さ、最近料理に凝ってまして……って言っても初心者ですけど」
「いや初心者の割には上手いでしょ。いつかご馳走してくれるの楽しみにしてます」
シンプルに美味そうやし。それに、Aさんの手作りだし。思わず記事を読みこんでいると、Aさんが戸惑ったように声を上げた。
……今いいところやのに。
「ど、努力します……あの、かわっ川上さん!」
「ん?」
「ちょっと、近くないですか……」
僕は大分距離を詰めていた事に気づいて、慌てて距離をあける。ずるい、そんな顔。
Aさんの頬の赤がうつったみたいに、顔に熱が集まる。彼女から目が反らせなかった。
「なんかこんなこと、前にもありましたね」
「前……?」
「福良さんにAさんが連れてこられた時の」
「ああ!」
Aさんがライターになったあの日。
なった、というよりもされた、の方が正しいかもしれないが。彼女の持つ絶版本に惹かれて、無意識のうちに僕はやっぱり距離を詰めていた。
癖っていうほど制御できないわけじゃないけど、Aさんの前ではどうしても気が緩んで、気づいたらとんでもなく近くで彼女を見ていることが多い。
それだけAさんが興味深いってのもあるんやけど。
「懐かしいなあ」
「そんな昔じゃないでしょ」
でもAさんのいう通りなんだかすごく昔に感じるのは、この数ヶ月が濃く充実していたからなんだろう。小さく笑えば、Aさんもつられてぎこちなく笑みを見せた。
.
536人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れのん - 短編集完結、お疲れ様です〜!!kwmrさんのお話もありがとうございました、とっても素敵でした…!!kwmrさんらしい優しさにドキドキしました…!!!長編も楽しみに待ってます!ありがとうございました!! (2018年10月16日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» こんばんは。コメントありがとうございます! 続きが遅れまして申し訳ないです。とても楽しいリクエスト、嬉しかったです。最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2018年10月16日 22時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 更新ありがとうございます〜〜!!現段階でもすごくドキドキします……!!続き待ってます!! (2018年10月12日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 三星さん» ありがとうございます!!いつまでも待つのでゆっくり更新なさってください。 (2018年10月10日 21時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» れのんさんこんばんは。コメントありがとうございます〜〜。嬉しいお言葉、幸せです。kwmrさんのリクエストもありがとうございます。次回更新時に書きますのでお待ちいただけると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします〜〜 (2018年10月10日 17時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三津 | 作成日時:2018年9月14日 17時