易しい知恵熱【Q.K】

どうにも愛が止みませんので / izw ページ5

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「Aちゃん、何してんの？」

「Aちゃん、次の記事の話だけどさー」

「Aちゃん、問題です！」


　伊沢さんはよく私に構ってくれる。
きっと後輩的な感じで可愛がってくれているのだろう。でも、いやいや、それにしたって。


「あの、伊沢さん。私勉強してるんですけど……」

「うん知ってる」


　じゃあ話しかけてこないでもらえますか！
乾いた笑いで文句を誤魔化す。
伊沢さんを無視して問題集を進めようとしたら、今度はその手が動いた。


「ひっ！？」

「あ、さては耳弱いな？」

「伊沢さん！」


　これは怒ってもいいはずだ！
いつもなら誰か止めてくれるが、今日に限って伊沢さんと二人きり。ここは私がビシッと言わなきゃ。


「あのね、伊沢さん。私勉強中なんです！ 集中したいんですよ。伊沢さんの行為は、はっきり言って私の集中に支障をきたします！」

「うん知ってる」

「もう！」

「だってAちゃんがオフィスで勉強するのが悪くない？ 俺Aちゃんがいたら絶対話しかけちゃうもん。福良さんと話してようと川上に相談してようと割り込んじゃうもん」

「いや何ですかその、さも仕方ないよねとでも言いたげな口調は」

「仕方ないよね」


　あーもう、埒あかない！


「じゃあ私帰ります！」

「まあ帰さないけど」


　私と彼の相反する言葉は同時だった。思わず溜息が零れれば、伊沢さんは少し眉尻を下げる。


「ご、ごめんなさい、そんなつもりじゃなくって、」


　じゃあどんなつもりだよ、と心の中の自分が痛い指摘をしてくるが、そんなのには構ってられない。
伊沢さんを傷つけたかも。
どうにか取り繕おうと言葉を並べる。

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