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「あのっ、そこまでは逆に申し訳ないです!」
「んー、でも俺この後オフィスなんだよね。どっちにしろ方向一緒だし。あ、じゃあ送るのはやめるからさ、俺と一緒に帰ってよ」
ダメ? なんて言われて断れるわけがない。本当に伊沢さんはずるい。
それに、すごく大人だ。私の子どもっぽさを嫌と言うほど感じさせられるくらいには。
「お、よかったーことわられたらどうしようかと思った」
「なっ、断りませんよ!」
「本当かー?」
貸出手続きをした本はさらりと伊沢さんが持ってくれ、さらに肩身が狭くなる。どうしてここまで優しくしてくれるんだろう。私は何を返せばいいんだ。悶々とそんなことを考える。
「伊沢さん、いつも本当にありがとうございます」
「どうしたの急に」
「私にできるのは、記事を書くことと感謝を伝えることぐらいかなって……思いまして……」
しどろもどろに伝えると、伊沢さんは声を上げて笑った。
「何で笑うんですか!?」
「んー。いやー、自分でも単純だなあって。……俺、Aちゃんとオフィス以外のとこで会えたからちょっとテンション上がってるのかも」
「何ですかそれ、」
照れ隠しに吐いた疑問に伊沢さんはかぶりを振る。
「……今度はさ、一緒に図書館行こっか」
その言葉は、やっぱり優しさを帯びていた。
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れのん - 短編集完結、お疲れ様です〜!!kwmrさんのお話もありがとうございました、とっても素敵でした…!!kwmrさんらしい優しさにドキドキしました…!!!長編も楽しみに待ってます!ありがとうございました!! (2018年10月16日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» こんばんは。コメントありがとうございます! 続きが遅れまして申し訳ないです。とても楽しいリクエスト、嬉しかったです。最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2018年10月16日 22時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 更新ありがとうございます〜〜!!現段階でもすごくドキドキします……!!続き待ってます!! (2018年10月12日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 三星さん» ありがとうございます!!いつまでも待つのでゆっくり更新なさってください。 (2018年10月10日 21時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» れのんさんこんばんは。コメントありがとうございます〜〜。嬉しいお言葉、幸せです。kwmrさんのリクエストもありがとうございます。次回更新時に書きますのでお待ちいただけると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします〜〜 (2018年10月10日 17時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三津 | 作成日時:2018年9月14日 17時