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「Aちゃん、こっち」
「え、」
「軽くまとめていくかなーっと思って席とってた。って言っても俺も読書してただけなんだけど」
ヘラリと笑った伊沢さんに数回瞬きだけを返す。
「Aちゃん?」
「すみません! ありがとうございます! あの、まさか席まで取っていただけるとは思わなくって。……何でわかったんですか? 私がこの後まとめ作業するって」
「Aちゃんのことだもん、わかるよ。……あー嘘! そんな目しないで! 俺が本読む前に軽くまとめる派だから、Aちゃんもそうだといいなーっていう願望。あと勘?」
そう言う伊沢さんがなんだかすごく大人に見えて、私は何を言うでもなく彼の正面の椅子を引いた。
伊沢さんも再び読書に戻る。山という程ではないが、量の多い本。
論文のテーマごとに軽くまとめて考察をする。図書館の空気はとてもゆっくりに感じられた。
一区切りついて、文字のなだれ込む視界を遮るため顔を上げる。瞬間、ばちりと伊沢さんと目が合って、心臓が耳元で音を立てた。
照れたように笑む彼に息を呑む。
「……終わった?」
「え、えと、はい! 今日はもうここまでにしておきます!」
「そっか、じゃあ送るよ」
「送っ!?」
思わず声が裏返って伊沢さんに心配そうな顔をされた。慌てて取り繕う。
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れのん - 短編集完結、お疲れ様です〜!!kwmrさんのお話もありがとうございました、とっても素敵でした…!!kwmrさんらしい優しさにドキドキしました…!!!長編も楽しみに待ってます!ありがとうございました!! (2018年10月16日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» こんばんは。コメントありがとうございます! 続きが遅れまして申し訳ないです。とても楽しいリクエスト、嬉しかったです。最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2018年10月16日 22時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 更新ありがとうございます〜〜!!現段階でもすごくドキドキします……!!続き待ってます!! (2018年10月12日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 三星さん» ありがとうございます!!いつまでも待つのでゆっくり更新なさってください。 (2018年10月10日 21時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» れのんさんこんばんは。コメントありがとうございます〜〜。嬉しいお言葉、幸せです。kwmrさんのリクエストもありがとうございます。次回更新時に書きますのでお待ちいただけると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします〜〜 (2018年10月10日 17時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三津 | 作成日時:2018年9月14日 17時