易しい知恵熱【Q.K】

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「どっちかって言うと、Aちゃんが取られた気がして寂しかったかなあ」

「え？」

「だって最近川上さんと仲良いみたいだし。ショッピングしたんだって？」

「何で知ってるの！？」


　どこでそんな情報仕入れたんだか、川上とAちゃんがショッピングしたらしい、ずるい！ と伊沢さんが騒いでいたから。ちなみに川上さんはそのことが話題に上るのを真底嫌そうにしていた。
即話題変わったし。流石QKイチの頭脳派。


「伊沢さんともよく話してるし、一時期河村さんのこと名前で呼んでたし？」

「うう、それは忘れてください……」

「たまには僕にだって構ってくれないと。一番長い付き合いなんだからさ」

「う、うん。わかりました。わかってます。私がこうして楽しめてるのも、福良くんのおかげだよ。本当に感謝してます」

「いやそこまで恩に着なくてもいいんだけど」

「本心だよ？ 昔馴染みってだけで今でも仲良くしてもらえて嬉しいし」

「だけじゃないよ」

「え？」

「昔馴染みってだけじゃない。僕は”Aちゃんだから”仲良くしてるんだよ？ Aちゃんを傍に置いておきたかったし、Aちゃんに僕の好きなものを理解してほしかったから」

「えっと、……アリガトウゴザイマス」

「……Aちゃんは、俺のトクベツだよ」


　出す気のなかった本当の想いが言葉に滲み出す。
きょとんとした後、Aちゃんは湯気が出るんじゃないかというくらいに頬を染めた。


「本当にごめんって、さっきからかったのは謝るから！」


　焦って赤い頬を扇ぐAちゃん。また冗談だと思ってるんだろうな。でも、たまにはこういうのも良いかもしれない。困った顔の彼女を見てそう思った。
また、トクベツが増えていく。

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