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疑問に思っている間に、笑顔の素敵な書店員さんは手早くお会計をしてくれる。本の入った袋を受け取るまで、何も言わずに川上さんは私の隣に佇んでいた。
「あの、川上さん……?」
「Aさん、この後はどうする予定ですか?」
「あ、いえ! 何も考えずに出てきたので、予定はありません!」
「じゃあ。……僕とどっか見て回りませんか」
「え、ええ! いいんですか!?」
それ僕の台詞なんですけど、と小さく笑みを零した川上さん。それが珍しくて、思わず声が上ずった。
「執筆意欲の掻き立てられるような会話ができるよう頑張ります!」
「……駄目です」
「え!? いや、え、駄目って、」
何で!? 聞き返すも答えは得られず。
川上さんはいつもより上機嫌に見えた。その後ろを慌てふためきながらついて行く私。
傍から見れば滑稽だっただろう。
「えっと、えっと、それじゃあ! 川上さんは買いたいものとかないんですか?」
「買いたいもの……そう言われると特に無いな。Aさんは?」
「ええ……うーん……。それじゃあ、アクセサリーとかどうですか?」
「アクセサリー、ですか?」
「はい! 川上さん、この間山本さんのネックレス褒めてましたよね? ああいうの探してみません?」
「……いいですね。一人じゃ絶対行かないし」
それは本当に”いい”んだろうか……。
一人で行かない所って人と行って楽しいものなの? こんなことになるんだったら、近くのデートスポットでも調べておくんだった……。
いや別にデートとして見てるわけじゃなくてね!? 単純に男の人が喜ぶ場所ってわかんないから!
デートスポットとして紹介されている万人受けするような場所なら、川上さんが喜んでくれる可能性もなきにしもあらずというかね!?
……私、誰に言い訳してるんだろう。吐きそうになった溜息は、幸せごと飲み込んだ。
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れのん - 短編集完結、お疲れ様です〜!!kwmrさんのお話もありがとうございました、とっても素敵でした…!!kwmrさんらしい優しさにドキドキしました…!!!長編も楽しみに待ってます!ありがとうございました!! (2018年10月16日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» こんばんは。コメントありがとうございます! 続きが遅れまして申し訳ないです。とても楽しいリクエスト、嬉しかったです。最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2018年10月16日 22時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 更新ありがとうございます〜〜!!現段階でもすごくドキドキします……!!続き待ってます!! (2018年10月12日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 三星さん» ありがとうございます!!いつまでも待つのでゆっくり更新なさってください。 (2018年10月10日 21時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» れのんさんこんばんは。コメントありがとうございます〜〜。嬉しいお言葉、幸せです。kwmrさんのリクエストもありがとうございます。次回更新時に書きますのでお待ちいただけると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします〜〜 (2018年10月10日 17時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三津 | 作成日時:2018年9月14日 17時