飛影捕獲大作戦！？ (ページ9)

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…夢、じゃないよね？ページ9

“食べられちゃう。怖い…怖い…怖い…！！”

Aは、かたく目を瞑って恐怖と戦いながら命の覚悟を決めた。

…が、一向にその時は訪れず事なく、妙な静けさを感じると恐る恐る瞼を開いてみる。

「きゃ…ッ！」

自らを襲った怪物は、後頭部から口を貫通するよう串刺しにされ、刃の鋒はAの鼻先すれすれで止まっている。

“この剣は、まさか！！”

視線を上げた先で目に入った人物は、怪物の背中から飛び降りると刃を引き抜き生物を真横へ蹴り飛ばした。

「嘘…ひ…えいく…」

「コイツは女の肉体だけでなく魂をも喰らう妖怪だ。」

震えが収まらぬまま目を見開き、訳が分からぬまま瞳に涙を溜めるAを飛影は鼻で笑った。

「フッ、信じられんという顔だな。序でに教えといてやるが、俺も蔵馬も妖怪だ。理由があって今は人間界で暮らしているがな。」

話が終わらないうちに立ち上がったAは飛影に抱き着いた。

恐怖心もあったのかもしれない、小刻みに震えた腕で必死に背中にしがみつく。
予想もしなかった彼女の行動に今度は飛影が目を丸くした。

「助けてくれてありがとう。それと、昨日は…ごめんなさい。」

礼はまだしも謝罪される理由が解らず飛影が眉を寄せると、Aが言葉を続けた。

「昨日、探してる鳥と似てるとか…可愛いなんて失礼なことばかり言っちゃって。傷付けちゃったんじゃないかって思ったから…」

「フン、まさかそれを言う為にわざわざこんな場所をうろうろしていたんじゃないだろうな。」

寄り添ってきた相手を引き離すでもなくそのままの状態で問い掛けると、案の定首を縦に振る彼女の様子に呆れながらゆっくりと身を離して背中を向けた。

「要らん心配をするな。元々気になどしていない。」

「本当に？」

「ああ。」

「…本当の本当に？」

「…ああ。」

少しうんざり気味に答えた飛影にAは再び抱き着く。

「離れろ、何の真似だ。」

幾ら離れろと命令したところで聞き入れない彼女に仏頂面を浮かべるも、必死に涙を抑えている肩の動きに気が付いて溜め息を溢す。
躊躇しながら片手を相手の頭の上へと置くと、落ち着くまで傍へとただ寄り添った。