飛影捕獲大作戦！？ (ページ38)

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心ページ38

薄く瞼を開くと視界が金色の光に包まれていて、二人の身体が地面から浮き上がった。この摩訶不思議な感覚に気付いたのか、飛影も漸く身を離す。

宙に浮いた驚きからしがみつくAの身体を優しく抱き寄せながら飛影は空を見上げた。

「どうやら元の世界へ戻れそうだぜ。氷泪石も見付けたようだからな。」

Aはその言葉にハッとして、胸元へ垂れ下がる石を手にすると彼の首に優しく掛けた。

「ちゃんと返せてよかった…。」

「……俺は誰かに甘えた経験がない。だからといって甘えようと思った事もない。」

「うん。」

「この石をAが気にしていたのは知っていた。だがそれを答えるには過去を話す必要がある。」

「過去…？」

「ああ。それを聞いたお前がどういう反応をするのかと思うと、話すべきか迷った。俺の過去がどうだろうとAには関係のない話だからな。」

自分に言い聞かせるような口振り。
彼は深く負った傷を強さで誤魔化しているのだろうか…。

「…飛影を…もっと知りたい。今度はあなたの意識に触れてみたい。…そう思ってしまうのは我儘…かな…？」

飛影は黙ったまま首を横に振って私を抱き締めた。

強く強く抱き合う身体が、徐々に空間に溶け込んで消えていく…。

人間界と魔界。人間と妖怪。

離れ離れになっても、お互いが違う世界の生き物でも。そんなこと心配しなくていいんだ…。

前よりも、もっと素直に彼と向き合おう。

飛影も、精一杯向き合ってくれるんだってわかったから。

「ありがとね、飛影。」

蔵馬の前で横たわる彼女の口元が穏やかに綻びた。

二人が目覚める五秒前――。