飛影捕獲大作戦！？ (ページ1)

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怪しいカラスページ1

「巨大な、からすを見たぁ？」

放課後の教室内に一斉に響き渡る驚愕と呆れ果てた声。自然が破壊され、ごみ溜めとなったこの都会に、餌を求めて飛び交うからすの中にはそこそこの大きさを誇るものも珍しくはない。ただ、付け加えられたその後の言葉に問題があったのだ。

“小学生ぐらいの大きさでね、屋根から飛び上がったかと思ったらすぐに消えちゃったの。”

Aの自宅はマンション８階の角部屋で、通りを挟んだ先に連なる民家の屋根を上から見下ろす事が可能なのだ。

「鷲や鷹と見間違えたとか？」

友人の淳子が言うと、みんなは口々に否定をした。
確かに都会で鷲や鷹を見掛ける事はまずない。

それにAが見た鳥は確かに黒い色をしていた。鷲は黒ではない。

「黒くて屋根の上に居たってことは、泥棒じゃないの？」

「忍者かもしれないよ？」

個々が様々な推測を口に出し楽しそうに笑っていたが、やがてそれもネタが尽きると結局は一つの結論が導き出される事となったのだ。

“見間違えじゃないの？”

A自身も自身がなくなってきて、鳥だったのか…それとも人であったのか、すっかり分からなくなってしまった。溜め息と同時に机に頬杖をつきながら上目がちに今朝の出来事を思い返してみることにした。

姿形は良く見えなかったものの、黒い大きいものが飛び去った光景は今でもはっきりと覚えている。
絶対に見間違えなんかじゃないのだ。

――但し、お世辞にも鮮明な記憶とは言えないけれど。