作戦決行 ページ35
今、時計の針はあと27秒で7時を指すところにある。
ーーなんて考えている間にも針はどんどん動いていって、約束の時間が近付いていることを知らせている。
秒針の音と心臓の音が交互に鳴っていてうるさい。あ、あと17秒。
と言っても、7時に部活が終わるっていうだけで、その後片付けとか着替えとかってなると結局20分後くらいになるのかもしれない。うん、きっとそう。
だから心の準備をしておくんだ。5、4、3……
「わっ！！！」
「ぎゃあああああ！！！！！」
僕は盛大に教室の椅子から転げ落ちた。
「ごめん、そんなにびっくりすると思わなくて」
「痛ぁい……ひどいしょおり…」
「だからごめんってば」
ひとしきり爆笑された後、なかなか起き上がらない僕をさすがに心配した勝利に助け起こされた。
お尻が痛いフリをしたけれど、本当はしばらく心臓がバクバクし過ぎて動けなかった。
よりによってこんな時にいきなり驚かすなんて、本当に勘弁していただきたい。
「聡、ほんとに大丈夫？」
「うん！も、もう治った！」
「ならいいけど…」
昨日、あれだけ中島先生とシミュレーションしたのに、もう勝利の目を見ることができない。
そして、ついに勝利はあの言葉を口にしてしまう。
「で、渡したいものって何？」
思わず肩がビクッと震えてしまうと、勝利は一瞬驚いてから吹き出した。
「もしかしてすっごい前に貸してたDVDのこと？」
「あ…いや……」
ごめん勝利…正直あのDVDはまだ見れてないんだ。
じゃなくて！！
「返すのいつでもいいよって言ったじゃん、怒ると思った？」
「あの…DVDはまだ…、そうじゃなくて…」
「じゃあ何？明日インハイの前入りなんだから早くして」
………そう、明日から勝利はインターハイのために東京を発つ。
インターハイに出場する勝利と菊池先輩の他に、サポートや応援、勉強を兼ねて部員の何人かも同行するみたいだ。
インターハイ自体は数日間行われるけれど、勝利の種目までにはまだ日があるから、僕は後から応援に行くつもりだ。
だから…、インハイを直前に控えた勝利に、何か僕がしてあげられることはないかって考えた。
でも勇気が出なくて、中島先生に相談して…不器用だけど、僕の気持ちを精一杯伝えられるようにって、頑張った。
中島先生を相手に練習までして、考えた言葉を絞り出す。
「聡？やっぱりさっき頭でも打ったんじゃ――」
「勝利、あのね」
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ピヨ(プロフ) - かずえ さん» わ〜ありがとうございます（≧∇≦）鈍感聡ちゃんに不器用な勝利くん…そろそろ転機が訪れる予定ですが、よかったら見届けてやって下さい♪ (2018年3月12日 23時) (
レス) id: 8cf126ec24 (このIDを非表示/違反報告)
かずえ - 初めまして！『聡ちゃん…この鈍感めー！！(ﾓﾀﾞﾓﾀﾞ)』となりながらいつも見ています(^^)甘酸っぱくて、もどかしくて、2人共可愛くて、とっても続きが気になります！次の更新も楽しみにしています。 (2018年2月21日 16時) (レス) id: 6d59a6d31a (このIDを非表示/違反報告)
ピヨ(プロフ) - ほのかさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…！！のんびりな更新ですが楽しんでもらえたら幸いです(*^^*) (2018年1月5日 13時) (レス) id: 260e8b028e (このIDを非表示/違反報告)
ほのか - こんにちは！！いつも小説見させてもらってます！ほんとにこの小説がだいすきで、更新されたらすぐ見てます笑 これからも頑張ってください！fanより (2018年1月3日 13時) (レス) id: 5c187ffec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピヨ | 作成日時：2017年9月5日 0時
