第八夜 ページ10
「神の子、ってどういうことだい?」
感情がない、という事よりも神の子という言葉が気がかりなのか、アラジンはエルフにそう尋ねる。
「うん?ああ、……エルフの世界は少し複雑なんだ。
まあ一言で言えば、王の素質があるものって事」
アラジンには子供をあやすように話すエルフ。俺たちには冷たいのに、なんでアラジンだけには優しいんだろう。
「……魔導師はルフが見えて、魔法も使える。魔法にはたくさんの種類がある。
俺たちエルフも似たようなことをする、でもそれは魔法じゃない……どちらかというと魔術さ。エルフのものは、全員魔術が使える
見てて……、…『flamma』」
不思議な言葉を呟いた途端、蒼い炎が彼の手から出現した。わあ、と歓喜の声を上げるアラジンにエルフはニヤリと笑う。
「まだこれだけじゃない。…エルフは自然を操るんだ。ここに一つの大木があれば、それを自在に操れる。でも普通のエルフは、使いすぎると体内の魔力…君らの世界ではマゴイだったかな。それを消耗してたちまち死んでしまう」
「でも、王さまは永遠と使い続けられる?」
正解、とエルフが年相応の笑みを浮かべて言うのを俺はただただ見ているだけだった。魔導師にしかわからない事情は、俺にとって理解するのはひどく難しくて。
「……俺たちエルフは、ルフが見えない。そこがキミたちとの相違点だ」
「じゃあ、おにいさんは何の加護を受けてるんだい?」
「さあね……、神とかかな」
これでエルフのことはよくわかったかな?とアラジンから、俺たちの方に顔を向けるエルフ。
肝心なことが、聞けていない。ドレイのことについて。でもアラジンもモルジアナも俺もまだ子供と言えば子どもで、話すには早い内容だった。
返答に迷っていると、エルフが俺の顔を覗き込む。吸い込まれそうな瞳に思わずあの光景を思い出して目を逸らした。
「……その様子を見ると、金髪のキミはエルフのそういう事情をよくご存知なんだな?」
笑みは絶やさず、されど先程より低い声に威圧される。はい、と声が出ずただ息だけが漏れる。
「……まあ別にいいよ。ドレイは産まれた時からドレイだから」
「その発言、撤回してもらえませんか」
捨てるように言ったエルフの言葉を拾ったのは、今まで黙っていたモルジアナだった。
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スノーマン - 面白いですね、もし続きがあれば楽しみにしています! (2018年12月24日 11時) (レス) id: acf7bd7114 (このIDを非表示/違反報告)
apipe - 続き楽しみにしてます! (2018年11月23日 3時) (レス) id: 6a53dc23ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんと | 作成日時:2018年11月1日 12時