第五夜 ページ7
「……何するつもりですか?」
「彼らに力量の差を見せるだけだ、…シン様がダメと言うならならやめる」
すかさず止めに入ったジャーファルに軽く舌打ちして、シン様を強調して言うA。遠回しに"お前がなに言っても無駄だ"と言われたジャーファルは溜息をついた。
「貴方は客人ですよ。…そして彼らも。危険な目に遭われては困ります」
「危険な目には合わせない。…ただ戦うだけさ」
もちろん加減はするよ、ただの人間だし。と馬鹿にした様な笑みを浮かべるAに、アリババの怒りは募っていく。それが、策略だとも知らずに。
「戦うって、……あのですね、」
「くどくど長いな、残りはシン様の判断に任せるべきだろ」
「こんな話、わざわざシンに任せる話でもありません」
「……言ってくれるじゃねえか、なんなら今ここですぐに力を示してもいいんだ」
「A、落ち着いて」
思わず天才魔道士と称する彼女、ヤムライハが止めに入る。いくら彼に喧嘩はダメ、と言っても無駄なことだったのだ。
「……ヤムライハさん、すみません」
「駄目よ、アラジンくん達を驚かせちゃ」
「……」
先程の威勢はどこへやら、途端におとなしくなるA。どうやらジャーファルにだけあんな態度なのか、と今更ながらアラジンは納得する。
「……謝るつもりは君らにない。特にそこの女にはね。
戦うのは明後日だ、それまでに何かを磨いておくといい」
反省の色が見えぬAは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべながら人混みの中へと消えていく。
その流れは一瞬で、時が止まっているようだった。
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スノーマン - 面白いですね、もし続きがあれば楽しみにしています! (2018年12月24日 11時) (レス) id: acf7bd7114 (このIDを非表示/違反報告)
apipe - 続き楽しみにしてます! (2018年11月23日 3時) (レス) id: 6a53dc23ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんと | 作成日時:2018年11月1日 12時