第十九夜 ページ22
「珍しいな、ヤムライハ。…で、どうした？」
「……彼は、何かに取り憑かれています」
「何か？」
おずおず、と言った様子で口を開いたヤムライハ、今まで当たり前のことしか話してこなかった私達にとって、彼女の発言は大きな進歩だった。
「確証は、ありません……でも、声が聞こえたような気がするんです。神様のような、声が」
「神様、って……アイツ自身が神みたいなもんだろ」
「どちらかというと、精霊とエルフの間でしょう
シンの言葉に思わずそう言葉をかける。そこで私は、重大なことに気がついた。
……そもそも、エルフってなんだ？
「エルフと、私たち人間……何が違うのでしょう。外見だけでしょうか。それとも、身体の作りが違うのでしょうか」
その言葉に、皆の動きが止まった。エルフ…御伽噺にしか出てこない、魔法の使える耳の尖った種族。
本来なら、人間とは別の世界で生活しているはずの、ヒトだと教わった。
されど、彼はどう考えたって人ではない。人を超えた、何かだ。
「……調べてみましょう。エルフについて。
私たちは、彼以前に彼の種族について知る必要があります」
その言葉に、一同は頷く。そうと決まれば早速ーーと、行きたいところだったが
「Aが今、どこにいるかはわかりません。…変に勘付かれても困りますから、今日はお開きにいたしましょう」
ヤムライハによって、今日の会議は終了した。
どこか煮え切らない思いを感じながら、部屋へと歩く。いつもなら聞こえる彼の怒鳴り声は、今日だけ聞こえなかった。
終わり
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スノーマン - 面白いですね、もし続きがあれば楽しみにしています！ (2018年12月24日 11時) (
レス) id: acf7bd7114 (このIDを非表示/違反報告)
apipe - 続き楽しみにしてます！ (2018年11月23日 3時) (レス) id: 6a53dc23ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れんと | 作成日時：2018年11月1日 12時
