新年 ( ※腐 ) ページ16
ほぼ会話文、リクエスト等あればどうぞ。
ーー
「おい、起きろクソ政務官」
「起きてますよ、……どうしたんですか」
部屋から滅多に出ることのないAが、仕事をしている私の部屋へと入ってきたのは、12/29だった。
「明日から新年、ってことで……殺しにきたんだよ、バーカ」
そう言って武器も何も持たず、殴りかかってきたAに対し、私は咄嗟に暗器で対応した。
「初日の出、……って鬼倭国の奴らは拝むらしい。俺も、お前を殺していい朝日が見たいなって思ったんだ」
「そんな丸腰で、ですか?」
「……失礼だな、こちとらお前と生きてる年数が違うんだよ」
それは答えになっているのか、と苦笑を浮かべたら「何笑ってんだよ」とますます不機嫌な顔になった。これがエルフの王ーー妖精王だなんて、全くもって信じられない。
「鍛えてきた時間も、質量も違う。……けれど貴方、奇襲は一番苦手とするでしょう?」
昔の話を出せばますます怒っているように、手足のキレが良くなっている。挑発しすぎただろうか、と思うけれど殺される、なんてことは思わなかった。
「そうそう、……言い忘れていたんですが」
「あ゙ぁ゙……??」
怒り心頭の彼は最早、王なんて相応しくない。王よりも、今は血に飢えた狼という言葉が似合っている。
「先程、我が王がここに来るとーー、」
いつの間にか壁に追いやられていたらしい、顔に当たろうとしていた拳が壁に当たり、ひどい音が鳴った。
「ジャーファル、あけまして……って、何してんだ。お楽しみタイムか?」
「違いますよ、いつもの発作です」
「そうか、残念だな」
「……さて、A?」
「わかってますよね?」
シンと二人、顔を合わせる。こんなところで王の力を使う彼もズル賢いが、チートのような妖精王にも責任があるだろう。
「部屋、ちゃんと元に直してくださいね」
ニコリ、と笑いながらそう告げれば彼は何も言い返せなかったのか小さくわかってるよ、なんて聞こえて、
結局朝日を見る前に疲れ果てたらしいAは、私の部屋で寝ていた。
ーーあの時シンが来なければ、顔面くらいは殴られていただろう。それ程までに彼はきっと、マスルールやシャルルカンに体術を必死に習っている、ということだ。
私を殺す為、と言えば可愛らしいがーーでも、相手が殺しに来ない限り話せないのも、顔すら見れないのも寂しくて。
嫌がらせで私は、人のベッドの上で眠る彼にそっと額に唇を落としたのだった。
『完」
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スノーマン - 面白いですね、もし続きがあれば楽しみにしています! (2018年12月24日 11時) (レス) id: acf7bd7114 (このIDを非表示/違反報告)
apipe - 続き楽しみにしてます! (2018年11月23日 3時) (レス) id: 6a53dc23ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんと | 作成日時:2018年11月1日 12時