第九夜 ページ11
「……昔は俺に反抗してきたことなかったのに、変わったね」
そう言い微笑むエルフは、発言を撤回する気がないらしい。ただ笑ってモルジアナを見ている。
……二人は知り合いなのか？
「貴方は、……貴方はなにも変わってないですね。顔も、考え方も」
「だって俺は人間じゃないから。…ドレイから逃れたんだね。鎖も立派に取れちゃってさ」
喧嘩を売るような口振りに思わず俺がイライラしてしまう。
「……キミがドレイじゃなくなったなら、キミ以外にもドレイから解放された人がいるんだろう。
掛けるべき言葉は、「おめでとう」かな？笑わせてくれるね。
今でも世界の中には、苦しんでるドレイがいるのに」
「……」
「この世界を一つにしない限り、ドレイ制度は消えないだろうね。……前言撤回なんてしないよ、モルジアナ。
この世界の理は、人間自身が作ってる。俺たちエルフには到底関係ない世界さ。
……わかるかな？俺に発言を撤回しろ、と言ったところでこの世界の理が変わるわけないんだよ」
嘲笑うようにそう言って、窓の縁に腰を掛けるエルフ。悲しくもなんとも思ってないようなその表情に、人の心がない奴だな、と叫びそうになる。
でも叫んでも、本当に彼は人の心がないのだ。
「……さて、話はもう済んだ。俺は帰るよ」
クソ政務官がうるさいからね、と苦笑いしながらそう言うエルフ。呆然と立っているモルジアナに対して優しく彼は微笑んだ。
「俺はキミの事情を知らない、キミの気持ちも知らない。
……だから、キミに俺は救えない。俺の気持ちを変えることは諦めた方がいい。
俺とキミは違うから。キミが変わっても、俺は変わらないから」
じゃあね、と窓から飛び降りるエルフ。結局最後まで、俺は彼の名前が分からずじまいだった。
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スノーマン - 面白いですね、もし続きがあれば楽しみにしています！ (2018年12月24日 11時) (
レス) id: acf7bd7114 (このIDを非表示/違反報告)
apipe - 続き楽しみにしてます！ (2018年11月23日 3時) (レス) id: 6a53dc23ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れんと | 作成日時：2018年11月1日 12時
