プロローグ ページ1
四人目のマギが、シンドバッドの前に現れるよりも数年前。
「マギ殺し」は、シンドリア王国の王であるシンドバッドに捕えられ、ーー暴れていた。
「放せ！！」
「それはできないなあ。なあ、手錠か何かないのか？」
彼はそばにいた銀髪の政務官…ジャーファルに話しかける。無いですよ、と言いながらも手首から自身の暗器をチラつかせている。絶対に逃がさない気だろ、とシンドバッドは内心苦笑した。
「…………、…その声に聞き覚えがある」
「……は？」
「俺は、その声を聞いた。何処かは覚えてないけど、……銀髪、お前の声を何処かで聞いた」
子供のように無垢な目をジャーファルに向ける。……何処かで、見覚えのある表情をしていた。
「………決めた、お前を殺す」
何も答えぬジャーファルに向けてそう言った言葉は、耳を疑う言葉で。
「え？」
「その代わり、……神に誓おう。其奴を殺すまでは、どの国も滅ぼさず、……シンドバッド王、アンタに服従する、と」
子供の彼は、そう言うと煌帝国で見たようなポーズを取った。混乱して頭が追いつかない中、ジャーファルは言う。「どうするのですか、と」
「……え、どうしよう？」
「私は殺されませんよ」
「でもファナリス……とまではいかないけど、速いし強いぞ」
「でも子供でしょう。……それに、私を殺すまでは問題となっていた国の滅亡も消えます。今回の依頼、達成出来るんですよ」
「でも、仲間を身代わりには出来ないだろう」
「殺される私がいいと言ってるんです。早く決断してくださいよ、王」
そう言われれば仕方ない、と言わんばかりにジャーファルからマギ殺しへと視線を移す。一瞬目が合っただけでも、殺意が抑えられないのか酷く恐ろしい目をしていた。
「わかった、……その交渉、受けよう」
「……その男を殺すまでの期間、だからな」
いともあっさりと、その男はシンドリア王国で暮らすことになった。もちろん、シンドバッドの下で、だ。
「一般人として暮らされたら、いつジャーファルを殺しにくるかわからないからな」
そう笑う王をよそに、殺し合いが始まるのは最早日常茶飯事になりつつあった。
平凡では無いけれど、当たり前に落ち着いた生活を送っていた。そんな日々が続いて数年後、
「今日は、殺すの禁止だからね！」
「…ヤムライハさん、なんでですか？」
「今日はお祭りなのよ！謝肉宴！」
四人目のマギは、この王国へとやってくる…。
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スノーマン - 面白いですね、もし続きがあれば楽しみにしています！ (2018年12月24日 11時) (
レス) id: acf7bd7114 (このIDを非表示/違反報告)
apipe - 続き楽しみにしてます！ (2018年11月23日 3時) (レス) id: 6a53dc23ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れんと | 作成日時：2018年11月1日 12時
